二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】魔法の国からやって来た【夢小説】 ( No.82 )
日時: 2011/10/19 17:16
名前: アニホとミシン ◆rWjtunSpWU (ID: WPbx8B95)

「この体勢でそんなことしてみろ、俺がお前を襲ってるみたいになるだろ」
「ぎゃははっ、なんなら魔術で体の性別転換させようか? 物凄く可愛い女の子になれる自信あるけど」
「いい女なんざ見飽きてる」
「ひゅー、おにーさんかっくいー!」

 楽しそうに叫び、足で勢いをつけてベッドから飛び起きるリーフレット。
 翻った髪から、ふわりと甘い香りが土方の鼻腔を掠めた。
 香水ともまた違う、例えるなら砂糖やチョコレートのように濃密な甘々とした匂い。
 エスペランサの髪からも白百合のような香りがしたが、顔が綺麗なら纏う香りまで綺麗なのだろうか。

 ……なんてことを土方が考えていると、もぞもぞと襖の向こうで蠢く気配を感じた。
 まさかと思って耳を澄ませてみれば、襖一枚隔てた場所からわずかに聞こえてくる声。

「副長とリーフレットくん、どうなってるのかな……」
「怪しい奴じゃないか確かめてくるって言ってましたけど……とりあえず大きな物音とかは響いてこないし」
「つーかよく考えたら、この向こうにある部屋って姫姉様が使ってたんだよな? その中に入れるなんて羨ましい! しかもリーフレットくんに至っては姫姉様の使ってたベッドで眠れるんだぞ!?」
「それを言うな嫉妬で死にそうになるから! ……でもさらによくよく考えてみれば、リーフレットくん男って感じのオーラ出てないから嫉妬のしようがないよなぁ」
「わかるわかる。じゃあ副長にだけ嫉妬しとくか」
「だな」
「呪いの言葉でも呟くか。いますぐコレステロール過剰で血管ぶち切れろ副長ー」
「今すぐ沖田隊長に撃たれて木っ端微塵に吹き飛べ副長ー」

「聞こえてんだよテメェらあぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!」

 土方がシャウトすると同時にベッドの上にあった大きな枕が投げられ、恐るべき速度で襖にヒットした。
 当然のように襖は音をたてて激しく倒れ、その後ろでヒソヒソと話していた二人を押しつぶした。
 指の骨をポキポキと鳴らしながら、襖の下敷きになった隊士たちに近付いていく土方。

「誰の血管がぶち切れろって? あぁ?」

 額に浮かぶ青筋。
 リーフレットと会話していた時よりも、だいぶストレス度数が上がっているようだった。

「ご、誤解ですよニコチン中毒!」
「そうですよクソマヨラー! 俺達、瞳孔全開野郎を呪おうなんてこれっぽっちも思ってません!」
「テメェらのその発言がすでにアウトだボケ!! つーか泣いていい?」
「あ、すいません泣いてる副長とか想像できないんで勘弁してください」
「よおしそこになおれテメェらアァァァァァァッ!!」

 うわアァァァァァ!! と叫んで逃げていく隊士二人と、それを酒瓶片手に追いかける土方。
 襖の壊された部屋の中からその光景を見て、リーフレットはふわりと微笑んだ。

「ぎゃははっ……楽しそうなおにーさんたち」

 かくして訪れた夜は、騒々しく荒々しく、さらに更けていった。
 雨も雷も、いつの間にか止んでいるようだ。