二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【竹取物語】二次小説【羅生門】 ( No.13 )
- 日時: 2012/12/31 22:46
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: geHdv8JL)
「……?」
ふと、目を覚ますと、やはりあの定食屋の中だった。
しかし、窓の外に映る空の色が、違う。さっきまで真昼の、さわやかな水色はすっかり紺に染まって、星の輝く黒天の夜空に変わっていた。
そこに一つ、たゆたゆと浮かぶ満月が、真っ白に輝いていた。
「あ?」
周りを見回すと、これもどうしたことだろう。見慣れない、あの頃からはずっと大人になった同級生たちが、すっかり泥酔してみんな机に突っ伏していた。グーグーと、誰かが煩いイビキをかいて眠りこくっている。
ふと、カウンターの方を見ると、色とりどりの紙くさりで飾られていて、その中央に、≪祝☆一高同窓会≫と書いてあった。
……?
じゃあ、私は無事に同窓会に出席できたという事なのだろうか。同窓会に出席できなかったのは、さっきまで見ていた夢の話で、本当は……
夢?
「……岩笠センセイッ!?」
先生は、先生は?さっきまで私の目の前に居た、岩笠先生は!?
思わず立ち上がって、周りをめちゃくちゃに探し回るけれど、影も形もこれっぽちも無い。
「ああ、そうだ、鬼塚は、アイツはどこに……」
今度は、鬼塚は案外簡単に見つかった。カウンターの奥で、壁にもたれ掛って座ったまま眠っていた。その肩を、ユサユサ揺らして呼び掛ける。
「ふ、ふぁ?乙海?」
「そうだよあたしだよ。」寝ぼける鬼塚に、思わず掴みかかりながら畳み掛けた。「ねぇ、岩笠先生は?どこに行ったの?」
「え……、先生ならさっきまで一緒に……」
そこで鬼塚も変に思ったのだろう。急に、寝ぼけた顔が移り変わって、辺りを見渡し始めた。
「なんで、夜?」
目を大きく開いて、私に聞いてきた。
「……こっちが聞きたいよ!!」
思わず叫んでしまった。「ねぇ、岩笠先生がね、どこにも見当たらないんだよ!」
「そんな……」
それから、鬼塚と私は、あの夢の中であったことを長々と話し合った。まわりのみんなは、すっかり酒に酔って、起き上がりそうにもない。
二人同時に同じ夢を見るなんて、どう考えても怪しい。第一、なんでふたりで岩笠先生の夢をみたのだろう。
しかも、もし、あの夢の中で言っていたことが本当なら。
岩笠先生は不死身で不死で、今もあの若さのままでいることになる。