二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケットモンスターspecial(悪ノ娘パロディ) ( No.10 )
- 日時: 2011/10/22 19:44
- 名前: 藍蝶 (ID: 6Bgu9cRk)
- 参照: http://blogs.yahoo.co.jp/fmgss599/1006329.html#1006329
第1章(1部) <イエロー目線>
「さあ、跪きなさい!」
王の間、輝かしい玉座に座るのはこの国、トキワグローブ(別名緑ノ国)の王女として君臨する娘、エレキア=デ=トキワグローブだ。
白髪の大臣達は一斉に頭を下げ、その少女に跪く。白髪の中に一人だけ金髪の少年がいた。
長い金髪を頭の下辺りでひとまとめにし、ちゃんと召使の制服を着こなしていた。
「お前が、新しい召使?表を上げよ……あら、とても私とよく似ている。男って書いてるけど女みたいね。どこかで見たような気もするけど……ま、いいわ。採用」
上質の羊皮紙をポイッと投げ捨てる。ひらひらと落ちていく羊皮紙はやがて力なく大理石の床に落ちた。
「エレキア……」
そう呟いたのは、金髪の少年だった。
それから一年。
大分時が飛んだ春。少年イエロー(つまり、僕)は自分の、召使としての仕事に多少こなれてきた。数年前までは、召使がこんな重労働をやっていたとは知らず、つくづく自分の言っていた事に後悔する。
「あ、イエロー。今日はやけに疲れてそうだなぁ」
僕の疲れ果ててよれよれになった姿を見て、同じ召使のエメラルドはケラケラと笑った。
昔貴族の一人息子であった彼(詳しく話そうとはしない)は、額にとても綺麗な緑の宝石をハメている。緑ノ国、トキワグローブを象徴するような、石。一番個性的なのは実際の身長と髪型と眉の長さだが。
「そりゃ、朝から掃除してたら疲れるよ。もう昼、何時間やってるか自分でも分からないや」
にこりと笑顔を作ってエメラルドに答える。イエローは6時起きで7時に仕事に出るから……7時間はやってんじゃない?と、エメラルドが王宮の近くに聳える時計台を指して言った。
「うん?もうすぐ3時かぁ。良かった、今日のおやつ当番僕じゃなくて」
王女、エレキアはとてもおやつが好きだ。そんな彼女のおやつ当番は毎回変わる。今日の当番は新人メイドのライトの筈だ。ライトはこの国では珍しい黒髪の少女で、真っ白な瞳が母君のホワイトによく似ている。僕が思うんだから間違いはない。
「ライトってちょっとそそっかしいよなー。この前花瓶割って、その前は廊下全速力で走って執事長に怒られてた」
執事長、というのはダーク、という男性の人の事だ。こちらは父君によく似ている黒髪に黒い瞳……全く、黒い髪の人達から生まれたのに、どうして僕達の髪はこうも金色一色なんだろう。
「ライトの個性だよ。それをいうならエメラルドだって、ごにょにょにょ……くらい個性的だし」
「途中聞きとれなかった。もう一度」
「あー、掃除やらなきゃなー」
やや棒読みでエメラルドを交わし、持ち手がささくれた箒をでたらめに動かし始めた。チッと舌打ちして持ち場に帰っていくエメラルドには、少し悪いかなと罪悪感を抱く。
今にも雨が降りそうな曇り空を見上げ、ふぅ、と溜息を吐いた。
箒を小脇に挟み、ささくれで傷つけた手を擦りながら
「もうすぐ、今日の仕事終わりだな」
そうポツリと呟いた。