二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 青の祓魔師 〜漆黒の記憶〜 ( No.3 )
日時: 2012/01/14 10:14
名前: 月那 (ID: IsQerC0t)

プロローグ 「はじまりの刻」

「・・・・・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ。」
少女は明け方の町を一人きりで彷徨い走っていた。
純白の衣装をまとった少女だ。
膝まで届く長い髪は桜色。瞳の色は深い深い海のような紺碧だった。
歳は十五、六ほど。
それは とても
とても美しい顔立ちをしているが、その表情は疲れきっていて虚ろだった。
少しウェーブがかかった桜色の髪はところどころ黒く汚れ、見開かれたままの瞳には何の感情も浮かんでいなかった。
少女の純白の衣装はあちこち擦り切れてひどく傷んでいた。
そして、真紅の・・・・・・・・血の斑点が髪や顔、手足 そして、純白の衣装についていた。
足には何も履いておらず、擦り切れて血がでた傷口に泥がついて、痛々しくみせていた。
「・・・・・・・はぁ、はぁ。」
傷ついた足を引きずりながら、少女は薄暗い路地を一人で走り続けている。
頭上の空は鉛色の雲に厚く覆われ、ひとしきり雨が降っていた。
「・・・・・・・・!」
少女は少しの段差につまずいて、転倒した。
起き上がろうとするが、そんな体力はもう少女には残っていなかった。
倒れた少女の目に映ったのはこの町・・・・・正十字学園町の中心にそびえる正十字学園だった。
少女は力をふりしぼり、
「・・・・・・・助けて・・・・・。」
そう、つぶやき、
力尽きた。

しかし、その声はむなしく、
ただ降り続ける 雨の音に
掻き消された・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・」
その様子をはるか上空から見つめる一つの影があった。
その影は、闇に似た真っ黒なマントをはおり、フードをかぶっていた。
フードの下は暗くよく見えずにいたが、
一瞬光った稲妻によって
うすく微笑んだ表情がかすかにみえた。

〆 10月23日