二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【pksp/pkmn短編集】さよならの恋の唄【リク募集】 ( No.232 )
- 日時: 2012/05/05 21:54
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
- 参照: http://www1.x-feeder.info/kuma/
<秘蜜〜黒の誓い〜>
prologue
「はぁ…はぁ……あと、もうッ、少し……ッ!!」
僕は必至に人間界に行ける扉へ向かって歩いた。羽は傷ついて、もう飛べない状態だ。少しでも飛べたら楽なのだが…。
そう思いながらの僕は必至に扉へ向かって一歩ずつ確実に近づいて行った。あと、一メートル…!!
「レッドさんッ…………すいません!!」
僕は謝罪をしながら扉を押して……中へ行った。扉を開ければそこは…奈落の底だった。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
飛べない僕にはその激しい浮遊感がとても厳しい物だった。背中に激痛が走る。焼けるような熱さがする。
必死に天に向かって手を伸ばす。天使界はどんどん小さくなっていく。あぁ、もう戻れない。
胸に激しい圧迫感。仰向けでも、うつ伏せでもどちらでも結局は苦しいのだ。胸と背中に激痛が走りどうにもできない。
そして、僕は人間界へと落ちたー………。
僕には耐えれなかったのだ。天使界の激しい争いに。もう、苦しむ人々の顔なんてみたくない…みたくないよ!!
「がはッ!!」
着地に失敗して背中を思いっきり打った。口からも背中からも…羽からも血が出てくる。止まらない…苦しい!!
誰か……僕を…
救って…
夕暮れ時なので、人通りがとても少なかった。居ても、倒れてる僕を救おうと手を差し伸べてくれる人は誰もいない。
もう、死ぬのかな…と半ばあきらめ気味の所だった。吐き気と眩暈…眠気までもが襲ってくる。
目を閉じてしまおうとした時だった。微かに見える視界の中で綺麗な女性が目の前に見えた。誰だろう?とても綺麗で澄んでいる青い瞳の持ち主の女性—…。
「貴方、大丈夫?凄い苦しそうだけど……あたしの家にでも来る?手当、してあげるわよ。しょうがないから無料で」
僕はその瞬間に、恋に落ちた。美しい女性にー……。
「あ、りがとうッございます……お願いします……」
僕はそう言うと、意識を手放してしまった。
今思えば、これが始まりだったのだ。
"禁忌の箱"を開けてしまった出来事のきっかけになったのは。