二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【pksp/pkmn短編集】さよならの恋の唄【リク募集】 ( No.243 )
日時: 2012/05/19 21:55
名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
参照: http://www1.x-feeder.info/kuma/

レッド×???



"ねぇ…僕は何でこの世界にはいないのかな?"


誰かの声がする。この世界にはいない?いないのになぜ俺と話せてるんだろう…。
俺は不思議になった。影みたいにゆらゆらと揺らめく少女は俺に未だ話しかけ続けている。

"僕ね、ゲームの中に存在しないcharacterなの。ただ、描かれているだけの少年ー…いや、少女、かな?"


影は寂しそうに呟く。俺はそれに耳を傾けることしかできなかった。
<ごめん>なんて言葉を言っても…きっと、ただ悲しそうにされるだけだろうし。
俺はそう思ったから何も言えなかった。ただ心の中で<俺は知らない…>と逃げることしかできなかった。
それを察したのか、影は激しく揺らめきだした。そうすると、あたりには強い暴風が吹き荒れた。

「くッ…!」

"僕は、僕はッ!!貴方たちみたいにいろんな世界を知りたかった…!!"



影は未だ揺らめいている。不安定に、不規則に、自分の存在を表にアピールするかのように。
まるで<僕はここに居るよ>と存在表明しているかのように揺らめき続けている。影は、泣いているのだ。


「大丈夫だよ」


俺はそう言った。影は少し止まった。
そのすきに俺は影を包み込んだ。影は泣きやんだ。


「お前は一人じゃない」

"…そんな、わけない"


影はまた泣こうとした。でも、俺はそれを制した。


「もし、一人になりそうだと思ったら…また、此処に来ればいい」

ー存在否定なんてしていないから。



そう告げると影は完全に止まった。風も止んだ。
さっきとは違う意味の涙を影は浮かべた。



"ありがとう!"




その笑顔は華がほころぶかの様な笑顔だった。
俺はそんな彼女の<笑顔>に恋をした。
ー俺が好きな彼女の笑顔に、そっくりだったから。




「イエロー」


つい、そいつの名前を呼んでしまった。
そうすると、影はまた笑った。


ー…

























「レッドさん達。起きてください!」


「ん…?イエロー…どうしてここに?てか、何処だ?此処…」

「此処はトキワの森です。皆さん、寝てしまったんですよ…僕もですけど」

そう言われてあたりを見回した。ほぉ、グリーンとブルーも寝ているみたいだ。珍しいな…。
そんなことを考えていたら、イエローと目が合った。何か話そうと口をあける前にイエローが言葉を放った。


「今日、不思議な夢を見たんです」

「え?」

「レッドさんにそっくりな人と会ったんです」

「…そっか」

俺とそっくりな奴…見たことがない。

「でも、レッドさんとは性格が全く正反対だったんです…その人、寂しそうだったんです」

イエローは自分こそ寂しそうに笑った。あぁ、イエローは優しいもんな。



「大丈夫だ、イエロー。俺達はきっと、みんな同じだから」



その言葉通り、俺達は好きな人にそっくりな奴と出会ったようなのであった。
これは何かの出会いの予告だったのだろうか?俺には分からなかった。