二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【pksp/pkmn短編集】さよならの恋の唄【リク募集】 ( No.250 )
- 日時: 2012/05/29 21:46
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
- 参照: http://www1.x-feeder.info/kuma/
>>159
*無意識学パロ*
【グリーンside】
俺らはずっと一緒だった。お互いに存在を認め合って、誰かを否定することもなかった。ましてや、誰かが欠けるなんて思ったことも一度もなかった。
だから、四人で仲良くできると思ってた。
なのに……!!
「ねぇ、好きな人とかあんた達居るの?」
そんな一言で崩れ去るような関係だった。俺達の今まで築いてきた絆なんかは。
その真実に俺はとても悲しくなり、泣きそうになってしまった。しかし、そんなこともできる筈がなかったので俺は平常心を保った。
だが、どんなにポーカーフェイスを保っても、傷つくものは傷つくのだ。イエローもレッドも、話を振りかけたブルーまでも、少し落ち込んでいる。
俺はこいつら全員…誰が好きなのかは予想は付いている。が、改めて気付くと虚しいものだった。
だから俺は気付かないふりをしていたんだ。逃げていたともいえる行動をしていた。何故、だと?そんなの当たり前ではないか。
ずっと、ずっと傍にいてほしかったから。離れるなんて思いたくなかったから。ただ、それだけだったのだ。
しかし……"永遠"と言うのは無理なことなんだと今更ながら気付いた気がした。
今更…か、その言葉は嘘なんだと愚か者の己は気付いているだろう。しかし、愚かな俺はその言葉にしがみついていたのだ。
"ずっと、永遠にお前達の傍で笑っていたかった"
"馬鹿ねぇ、そんなの…無理に決まってるじゃない。好きな人ができれば優先順位は変わるのよ"
"そういうものなのか…?恋と言う物は面倒くさいものなんだな。俺は出来る限りしたくないな"
"…本当に?"
"…は?"
何時だっただろう?ブルーと話していた言葉が脳裏を過る。あの時、すでにブルーは察していたのだろう。
「好きな奴、か………」
俺がイエローの事が好きだってことに。しかし、イエローはレッドが好き…レッドはブルーが好き。
そして、俺はブルーに思いを寄せられていた。それは、あいつの表情、態度、反応で分かりきっていることだった。
「…はじめてかもな。実現する前に諦めるなんて、な」
思いを誰かに寄せたことも伝えたこともなかった。だから、自分のこの気持ちを制御するのに少し戸惑った。
ー恋が恐ろしいと思った。
「………恋、か」
恋。恍惚で美しい物。でも、少し触っただけで醜く汚いものになってしまう。
だから触れたいとは思わない。汚したいとも思わない。ぐちゃぐちゃにしたいなんても思わない。
だが、あいつー…ブルーは違ったらしい。
その事実を俺は数日後、知るはめになるなんて思ってもみなかった。否、違う。また俺はやった。逃げていた。
いきなり生徒会室に来たブルー。そしていきなりソファに座るように命じてきたかと思うと俺に飛びついて押し倒してきた。
…大丈夫か?こいつ。
そんなことを思っているといきなりブルーは喋り始めた。
狂ったように、早口で俺に向かって。
だが何故か俺は、
"恐い"ではなく…"美しい"と思ってしまった。
狂ったこいつが美しいのか?狂った姿が美しいのか?狂った人間が美しいのか?俺には分からないが、美しいと思う。
「ねぇ、グリーン。心をぐちゃぐちゃにしたらどうなると思う?この手で愛してる人の心を踏みにじったら、どうなると思う?
あたしの方に気持ちを向けてくれると思う?あたしの事、少しでも気になってくれると思う?
…それか、あたしの事を恐ろしい化け物だと思うかしら?怯えて、あたしを遠ざけるようになるかしら?」
まるで病んでいる…否、病んでいるのだな。
青く澄んでいた綺麗な瞳は、もう跡形もなく消えていた。
あぁ、だから嫌なのだ。恋なんてな。
「少なくとも、ほとんどの人間は後者だろう。どんなにお前が誰かを愛そうと、そいつに愛している奴がいればそいつにはただの迷惑になるのだ。
分かるか?もし、お前が誰かを愛しているとするー…それで、そいつ以外の奴に恋心を抱かれていたら?自分の恋を邪魔されたら?
そいつはお前にとってどうぜただの"お邪魔無視"としかならないだろう?分かるよな、ブルー…今のお前なら」
「…煩い!!煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い!!
あたしはあんたが好きなのよ!どうして気付いてないふりするの?!あんたばっかり、いつもいつも…どうしてよ!
どうして自分は"傷ついていない"なんて装うのよ?!あたしはあんたがすきだけど、そんな姿は大嫌いよ!」
"大好き=大嫌い"
俺はその言葉にふっ、と笑った。
何故笑われたのか分からないブルーは少し戸惑っていた。
「…あぁ、ありがとうな。ブルー。それは俺にとって、最高の褒め言葉だ」
「…!!」
ブルーは涙を流した。思いだしてしまったのだ…過去の無駄に馬鹿騒ぎをした、あの日の思い出を。
俺も目を閉じ、一部の記憶を取り戻した。あぁ、懐かしい。とても押さなくて傷つけあった俺達は今じゃこんなにも成長していて…
喧嘩をして傷つけあうのではなく、嫉妬で傷つけあう程に成長をしてしまったのである。
"グリーン、ブルー、イエロー!大好きだからな!"
"ふっ、煩いやつだ…知っている。俺もだ"
"あら?あたしの方がも〜っと大好きよ!!"
"僕だって負けてませんよ?愛してますからね!!!"
"大好き!!"
あの日の純粋な俺達は一体、何処へ行ってしまったのだろうか?
どんなに願っても、元に戻らない。
もし、時渡りが使えるのならば
「セレビィ、連れてってよ」
愛をささやく魔女の魔法を解いてほしかった。
続きます—