二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【pksp/pkmn短編集】さよならの恋の唄【リク募集】 ( No.264 )
- 日時: 2012/06/09 21:56
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: ZUrGQhyc)
- 参照: http://www1.x-feeder.info/kuma/
>>250
続き
生徒会室の部屋には俺とレッドがいた。無機質な教室の中は俺が資料まとめにつかうパソコンの音と、シャ—ペンの音だけだった。
そして、手書きの資料を書き終えた、と思った瞬間にシャーペンの芯がボキリ、と折れた。
後ろを向くと、レッドがピカチュウを撫でていた。俺がレッドを呼ぶと、レッドはピカチュウをしまって『何だ?』と笑顔で返事をした。
「…と、言う事で…お前たちは狂っていると言うわけだな」
俺はいつも『鋭すぎる』と言われる目を更に細めて鋭くする。レッドは『こえーよ』と言ったが、無視することにした。
とにかく、今まで"親友"と思っていた奴らは気付けば狂っていたのだ。何故、ここまでに狂ってしまったのか…。
「なんで俺にもなるんだよ〜」
レッドは俺に不思議そうな笑顔で俺に問う。そう。その笑顔が、病んでいるのだ。狂っているのだ。
逆に、何故気付かない?何故分からない?何故"分かっているのに聞こうとする?"……頭には"何故"と言う言葉しか浮かばなかった。
「−そんなの、分かりきっているだろう?」
「…何のことだ?」
レッドは未だ笑顔で俺の前に座っている。レッドは、表情を変えずに、笑顔の仮面で俺を見ている。
ーそこには、嫉妬、憎しみ、絶望、嫌悪、罪悪…たくさんの感情があった。だが、俺は気付かないふりをして言った。
「お前は最低だ。全て知っているのに、知らないふりをして逃げている。分かっているのだろう?イエロ—がお前に、好意を抱いていることを………」
レッドはまた、笑顔の仮面のまま笑っている。そして、いつもより低い声でこう言ったのだ。
「なんのこと?」
とー………
「お前は本当に、最低だ」
「サンキュ」
「褒めていない」
「グリーンもそうだろう?」
「…まぁ、な」
狂ってた、なんて違う。こいつは昔からいつもいつも不可思議な言葉を言っていたのだ。
逆に、自分に問う。何故、気付かなかった。こいつの心が不安定だったことに。答えはすぐわかる。
ーあいつが毎日、笑顔の仮面をつけていたから。毎日、絶やすことなく俺達に笑顔を振る舞ってくれていたから。
目を閉じる。
ブルーの時と同じように思いでが流れていく。
鮮明に、繊細に、色どりよく流れていく。
だけど、その記憶は笑顔に日々に少し傷をつけた日だった。
『俺達はまだ、あのころと少しも変わっていないんだなぁ』
『そうか?』
『結構変わったわよ?』
『そうですよね』
『いや、変わってないよ』
『何が言いたい?』
『……弱い、ままなんだ』
『…何が、だ?』
『心が』
『え………?』
レッド、お前は一体…何が伝えたいんだ?俺には理解ができない。なにを一体、どうしたいのか。
「俺さ、ブルーが好きなんだよね。だからさ、イエロ—の思いにはこたえられない。中途半端に『好き』と言われたってさ、傷つくだろ?」
唐突にレッドは俺にそう言った。ブルー…か、この前のあの出来事を思い出す。なんて、ややこしい関係なのだろうか。
俺はイエロ—が好きだ。だが、イエロ—はレッド…レッドはブルー。ブルーは俺…と、循環してしまっている。
「本当に、面倒くさいな…恋愛は」
俺は素直にそう思った。もう、こんな苦しい未来が待っているくらいなら…あの時のまま時間を止めてもらいたかった。
「そうだよ。面倒くさいよ。恋なんて、しなければいいんだよ。でも、愚かな俺達はしてしまった」
レッドの意見に、俺は少なからず同意してしまった。
恋をする前は、いつも意見がぶつかって喧嘩もたくさんしたのに、今はそれさえもできないのだ。
「今まで、直ぐに自分の思いを諦めることはしなかったし、しようとも思わなかった。諦めたらそこで終わると思ったから」
レッドは、そう呟いた俺をちらり、と見た。笑顔は、ない。仮面はもう、付けていない…いや、付けれない。
「もう、誰もいらない。必要ない。恋なんて、もうしたくない。諦める。気付いても、気付かないふりをする。
そう誓っていた。だけど、無理だった。好きなんだ。好きになってしまったんだ。でも、恋より俺は永遠の友情が欲しかった。
だけど、無理なんだ。分かってる。分かってるが、無理なんだ。無理だ。分かってる。でも、諦めれない」
「グリーン……」
「それが、今の俺達の心境だ。だろ?」
「ッ!!」
レッドはどうやら図星あったようで、目を大きく開けた。そう。狂っているのは…俺もなのかもしれない。
「…狂ってる。今の俺を見たらそう言うだろうな…だってさ、グリーン」
レッドは俺の言葉を聞いた後に小さく零した。
「自らタヒに向かわせてやろうかな、なんてもさ…思っちゃうんだ。愛してる人を。グリーンの言うとおり。さっきの言葉通り。
恋なんて、だからしたくなかった。しなければよかった。でもさ、無理なんだ。俺はブルーを…愛してしまっている」
レッドはとても悲しそうな顔をした。
「だったら」
俺は小さくつぶやいた。
「−そのまま愛せばいい」
俺はそれだけ告げて生徒会室を出た。
後ろでレッドが何かを言っていたが、聞こえないふりをして扉を閉めた。
『それは、グリーンにも言えることだぞ?』
聞きたくない。聞こえない。知らない。
俺は静かに学校の廊下を一人であるい学校の外へ出た。
『続く…』