二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 終わる世界に花束を、  〈inzm〉 ( No.73 )
日時: 2011/12/01 16:38
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(4) 通常より異常を望め

 「……だから言ったじゃないですか。これ以上こそこそと嗅ぎまわると痛い目にあいますよって。」

“最上位の太陽”、西部の深い森の中。
生い茂る樹林のおかげで全くと言っても過言では無い程、日光が感じられないこの場所。

そんな場所に佇む一人の少女————と地に伏した女の体。

「……っ、何でっ!真実を————」

女が薄ら目を開け顔を少女へと向ける。血まみれの体が痛々しく呼吸も荒いが少女を睨む瞳だけがギラギラと輝いていた。


対する少女は鋭いが生気の感じられない金の瞳で冷ややかに女を見下ろし薄く微笑み言う。

「真実ですか……そんなもの要りませんよ、どうせ残り僅かな虚実なんですから。」













 「まぁティアラだったら脱走というところだが……ラティアは何の用があってここに?」

カウンター席に風丸達とは間隔を置いて座ったラティア。そしてその前に永恋がコトンとティーカップを置く。白いカップの中で揺れる薄桃色の液体を口に含んだ彼女は一呼吸置くと奏始にむかって話を始めた。

「————“九重の月”。ノインモーントで最近妙なことが起こっているらしいのよ。」

“九重の月”————王族の存在しない無法地帯。乱闘、強盗、傷害、など当たり前。国交は数年前から途絶えている上他国からの来訪者を嫌い入国させないため現在の国政はどうなっているのか大きな問題となっている。

「妙なこと……って?」
「————あの国は治安は悪いけれど現在のトップは国民の命を一番に考えているらしいの、だから障害や乱闘があっても死亡者は年間でほぼゼロに等しい。でも————」










 「虚実……ですって……!!」
「はい、虚実です。しかし————」






目を見開き驚く女に少女が手をかざす、すると瞬時に現れる五つの小さめの魔法陣。赤、橙、黄、金、白それぞれが鈍く輝き回転を始めると、

「————虚実とも知らない者には真実としか見えていませんが。」
「!?」


瞬間、深い森の中に爆音が轟いた。