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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 終わる世界に花束を、 〈inzm〉 ( No.74 )
- 日時: 2011/11/28 20:09
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
(5) カウントダウン 1
「異常なまでの死者及び行方不明者の増加、か……。」
「……しかも国外で、よ。」
カウンター越しに言葉を交わす奏始とラティアと呼ばれた少女。
淡々と話を進める彼女<<ラティア クラリス>>。
前述した“炎の天使姫”<<ティアラ クラリス>>の双子の妹であると同時に“四つの涙”の姫である。
そんな彼女の呼び名は“水の悪魔姫”。
姉と同じくかなり上級の魔法使いとして有名であるものの本人はその異名が気にくわないらしく先程の風丸達のように異名を口にしてずぶ濡れになる者も後を断たない。
「……“九重の月”か。それでラティアがわざわざ外に出てまで此処に来た理由は……?」
「情報を貰いに来ただけよ。」
カップを持ちながらそっけなく答えるラティアとそんな彼女を見て何故か溜め息をこぼす奏始。
「……外に出ることが嫌い、人混みに行くのが嫌い。そんなお前がたかだか情報ごときで此処まで来るわけ無い。“石”を使った通話で無理矢理にでも済ますはずだろ?ラティア。」
自分を見据える赤い目に、カップを運ぶ手をピタリと止め薄く微笑む彼女。
「……さすがに誤魔化せないわね。」
「当たり前、四歳から十年の付き合いだ。誤魔化せるわけが無いだろ?」
観念したかの様に言うラティアと呆れた様に言う奏始。
少し離れた席に座っていた風丸と吹雪が二人の関係について永恋に問いかけ“ただの幼馴染みよ。”という回答に驚きの表情を浮かべる。
そんな彼らを横目に一国の姫が口を開いた。
「……私の国に来てほしいのよ。少し……いえ、重大な事件が起こったの。」
凛とした口調を崩さずに彼女はそう告げた。
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