二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 終わる世界に花束を、 〈inzm〉 ( No.84 )
- 日時: 2011/12/05 18:48
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
(7) とある場所へ
「やっぱり<<イークゲート>>だと移動が楽でいいわね。」
「……俺と誓許とラティアは普段“転送魔法”で移動してるからな。」
<<イークゲート>>と呼ばれる空間の歪みを利用し“最上位の太陽”から“四つの涙”へと移動したラティアと奏始、その他面々。
自分の身長の何倍もある歪みを見上げたラティアは世界でも数少ない“転送魔法”の使い手、そしてそれは隣に立つ奏始と誓許も同様である。
転送魔法は属性に“空間”もしくはその変わりとなる魔力を持つ者しか使用不可能な上“空間”自体が極めて珍しい。
そのため転送魔法を使役出来る者は数が少ないのだ。
因みに奏始とラティアが持つのは“空間”の魔力を持ちながら“時”の魔力も持つ<<時限>>という一種の特殊魔法。
誓許が持つのは“空間”の魔力を含んだ<<転換>>というこちらも特殊魔法の一種。
これらも転送魔法は使えるものの魔力の消費が大きく彼等いわく“あまり使いたくはない”らしい。
「……んで、何で俺達まで連れて来られてんだ?」
店から帰ろうとしたところを半強制的に連行されてきた吹雪と風丸。
先程店でラティアに水流の餌食にされたことが余程こたえたのか、後ろの方でコソコソと永恋に尋ねる風丸。
“ラティアにも何か考えがあるんでしょ。”とめんどくさそうに答えた永恋はこれ以上話しかけるなとでも言うように風丸から顔を背ける。
「……そろそろ行くわよ。」
「え、どこに?」
言うが早いが地面に手をかざすラティア。行き先を知らされていない他の者の中から声が上がるが“行けば分かる”と短く答え意識を集中させるためか目を閉じる。
次第に足元に深い青の魔法陣が浮かび上がり輝きだす。そして現れたのは彼女の扱う特殊魔法<<時限>>による転送魔法用の陣。
「<<時限>>と言えど私どちらかと言うと“時間”よりなのよ。……そのぶん消費が大きいから転送魔法使える奏始と誓許は自分で移動してちょうだい。」
そう言うと二人に小声で行き先を告げ永恋と吹雪、風丸の姿を確認し、魔法を発動させた。
一瞬にして消え去る四人の姿を見送る二人は顔を見合わせ首を傾げる。
「なんで……行き先が観光地?大変な事が起こったんじゃ……。」
「……さぁ?オレだって知らねぇよ。」
告げられた場所の名前、観光地として名高い湖の名前を繰り返し呟く二人。
「まぁ……行かないとラティアに怒られるし。」
「……だな。」
とりあえず謎は後回しにして魔法陣を展開する二人。
足元で淡く輝く緋色と翡翠色の魔法陣は色と大きさこそ異なるものの模様は先程のラティアの物と同じ転送用魔法陣のそれそのもの。
「……しかしまぁ、なんで湖?」
「あぁもういいからとりあえず行くぞ!!」
会話をふりだしに戻そうとした誓許に一喝を入れた奏始は魔法を発動させる。
「あっ!!置いてくんじゃねぇよ!!」
焦ったように魔法を発動させた誓許。
すると魔法陣が強く発光しだし一瞬にして使用者それぞれを目的地へと送る。
後に残ったのはただ光の残像だけだった。