二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 終わる世界に花束を、 〈inzm〉 ( No.97 )
- 日時: 2011/12/12 17:33
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
(10) 黒装束の女
「……なんてね。」
「「「「「「……は?」」」」」」
漆黒の魔法陣が音をたてて砕け散る。
先程見た閃光は既に無くなり、刀は何事もなかったかのように鞘に収められていた。
変わらないのは女のポーカーフェイスただ一つと言ったところか。
「戦う気なんてさらさら無いし。第一自分から面倒事に顔突っ込む程私は馬鹿じゃない。」
そんな彼女の言葉に“冗談か何かか”とひとまず安心するラティアや永恋。
湖の向こう側から此方へと、歩みを進める彼女の揺れる黒装束が緑ばかりの森に映えている。
そんな中で女と同じ黒髪を持つ少年。
夢月夜行の情報屋、誓許が自身から女に歩みよった。
閃光に遮られ言えなかった一言を言うために。
見ず知らずの侵入者、敵か味方かも分からない人物に近づくな、と後方で誰かが声を上げるも足を止めず結局止めたのは目的の場所。
つまり女の目前。
「アンタさぁ特殊魔法<<絶斬>>の持ち主の……“時空未来”(トキソラ ミライ)だよな?」
確認というより、最早決めつけたような口調で彼は言った。
「情報屋の中で一時期噂になったんだよ、漆黒の魔法陣……<<絶斬>>の使い手のことがな。」
「……ふーん。」
あたかも他人事のように興味なさげに耳を傾ける女、未来。
<<絶斬>>。
大きな物から小さな物まで文字通り絶対に斬ることのできる彼女特有の特殊魔法。
「……まぁそんなことどうでもいい。噂になったって大方私と馬鹿姉貴のセットでしょ?」
コクンと首を縦に振り肯定の意を示した誓許。どうやら未来の姉のことも知っているらしく“そう言えば姉の過去さんは?”と問いかける。
しかし返ってきたのは、
「うざったいから捨ててきた。」
という酷いもの。
しかもそれをお馴染みのポーカーフェイスで平然と言ってのけた未来。
「……で、結界を斬ってまで此処に侵入してきた訳はなんなのかしら?」
誓許に対し攻撃を仕掛ける訳でもなくただ言葉を交わしていた彼女に警戒心が薄れたのかラティアが話しかける。
「理由?……ただの興味だよ。ちょっとした“噂”のね。」
「噂って……まさかッ!!」
目を見開き驚きの声を上げたラティアと腕を組み相変わらずの表情の未来。
「この“石”の欠片のことは国家秘密らしいけど、私は噂を聞いていたから知っていた。
つまり誰かがばらしたってことだよ。」
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月影のオリキャラの“時空未来”ちゃん登場。
ぐだぐだでごめんなさい月影。