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　４１話「捨てるのは“自分”」

『おねぇちゃん』

そんな声が聞こえた“気”がした

振り返ってみたけど何も無かった
「どうしたの？」
「え…あ、なんでもない」
そういい歩き出す

気のせいよ。だって、もう聞くことなんてないのだもの





＊



「…“漆黒の蝶”がターゲットだ」
静かに貴方は告げた。あたしに
いつも、いつも…どうして？
本当は『嫌だ』と言わないといけない
本当は『間違っている』と教えないといけない

だけど、あたしにはソレができない

なら、あたしは…貴方の“頼み”に“望み”に答えましょう

「わかって、います」
全ての感情を捨て、全てを捨てて、それは“自分”であろうと







「ここは、何処？おねぇちゃんは、何処？」
不安そうに、寂しそうに、悲しそうに
少年は“姉”を呼ぶ

でもそこに彼女はこない


だって、此処には彼方しか存在しなもの


だから、あたしは“眠り”を覚まさせる

彼方は目覚め、彼女を探す

彼女を、見つける


そんな、彼方の“想い”すらもあたしは利用する



＊



「おねぇちゃん」

突然、声は聞こえた
はっきりと、聞こえた

「おねぇちゃん…！」