二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.260 )
- 日時: 2011/12/29 18:22
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
49話「眠り」
何も見えない、何も聞こえない
“闇”の空間
「(足元に冷気?もう此処は奴の領域なのね)」
突如響く声
「来たのね?待ってたわ。漆黒の蝶」
闇の中で少女の銀色の髪だけが光る
「いらっしゃい。貴女の知りたい事、教えてあげるわよ」
不適に笑う顔
決して表情が見えているワケではない
無言で後を追うかがり
「ここは…?」
目の前には何かの施設のような建物
「此処に貴女の知りたい事があるわ。貴女の“弟”の事もね」
一歩中へ踏み込んだ瞬間に感じる威圧感
「何…コレ」
寒いなどといった感覚ではない
全てをまとめてこれは
「(コワイ…何よ。この感情…全てが、呑みこまれるような…恐怖感)」
かがりが無言で周りを見る
だが、所々に冷や汗が出ている
そして、銀色の少女---氷裏は立ち止まる
1つのカプセルの前で
カプセルには様々なコードが繋がれている
「(コードの先は…機械?何)」
「知りたいのよね?」
そう尋ねる氷裏の瞳には冷たく険しいモノだった
「えぇ。あたしはそのために此処に来た。あたしの『終焉』の場所へ」
「そう。貴女にとっては5年前が『終焉』ってこと…コレ、何か分かる?」
氷裏が指すのはカプセル
「これはね…」
---聞きたくない。そう、思ってしまった
聞いたら、何かが変わってしまいそうな恐怖に狩られた---
「これはね-----------------------------------------------------------貴女の“弟”。“月風真”よ」
風が吹いた
恐怖を煽る様な不気味な風が
「この、中に?」
かがりが戸惑いの声を上げる
「そう…5年の間。ずっとここで眠り続けているの」
「じゃ、じゃあ…アンタが用意した、あの子はっ?!」
かがりは言いかけてやめる
「あの子?あの子はね…」
氷裏は言いかけて止まる
「あら、起きちゃったの?」
その声で後ろの気配に気づいたかがりが振り返ると
「っ!!!!?」
そこにいたのは、見覚えのある少年
「おねぇちゃん?…やっぱりおねぇちゃんだ!!氷裏姉ちゃんの言った通りだ!」
無邪気に喜ぶ少年
「え…?どういうことよ。この子はアンタが用意した偽物じゃ---!!」
かがりは氷裏を見て叫ぶ
「えぇ…その子はあたしが用意した貴女の弟の偽物よ」
氷裏が笑う
「ねぇ…?偽物ってなに?僕は…ニセモ…ノなの?」
震える声で言った少年
「ねぇっ!?ねぇっ?!!!!」
少年はかがりを腕を引っ張り叫ぶ
するとかがりはその手を振りほどき
「そうよ…アンタはあたしの………あたしの、本当の弟じゃない!!!!」
今にも泣きそうな、苦しく絶望の表情でかがりが言う
その言葉を聞いた少年は目を見開き
「や…だよぉ。ぼく、は…おねぇちゃ…のおと、うとだ…もん」
弱々しく言い気絶した
「良かったの?そんなコト言って。あの子、傷ついちゃったよ」
氷裏が聞くとかがりは無理やり冷静を装う
「全部、アンタの計算通りなんじゃないの?」
「ん〜まぁ…そうね。じゃあ話を戻しましょうか」
「あの子はアンタの本当の弟じゃないわ。だけどね…貴女の弟の“意思”で動いている」
氷裏が告げる
「このカプセルの中には貴女の弟がいる。その貴女の弟の意思…はそのままあの子に通じている」
「それって…まさか」
「そう…あの子はね。貴女の弟であり、弟じゃない。あたしが見つけた、貴女の弟の-------------器」