二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.267 )
日時: 2011/12/30 10:53
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 51話「真とマコト」

“夜”という名の“闇”がその空間を支配していた

「クッ!!!ア゛ァァアッ!」
響く悲鳴
「≪水冷弾≫」
かがりは銃を取り出す

それを見た氷裏は
「ん?馬鹿っ?!あたしに水は…≪氷乱舞≫」
かがりの飛ばした水の弾丸は氷裏によって凍らされてしまった
「乱れ、舞え!!」
氷裏が叫ぶと凍らされた弾丸はかがり目掛けて飛ぶ

だが、かがりは避けようとはしない
持っている巨大鎌を回し始めた
氷の弾丸は全て跳ね返される

かがりは小さく笑う

「…何よ。あたしは………あたしはっ!負けられない!!!」
氷裏は何かを決めたように否、何処か悲しげな表情で言う

「≪銀麗月花≫!!」
氷裏は告げると銀色に輝くき、月明りに照らされる花がまき散らされる
「これはっ…」
「綺麗でしょう?これが、ある限りあたしの力は上がる。底上げされるのよ」

それを聞くとかがりは
「ふぅ…」
髪を解いた
すると、闇色の紫が広がる

「全てを叩き落とせば良いわね」

解かれた髪が漆黒の空に舞う

「≪翼風斬羽≫」

鋭く尖る羽が銀色の花に突き刺さる

「………打つ手、無し…か」
氷裏の声が響く

「≪桎梏≫!」
かがりは漆黒の鎖で氷裏を拘束する
そして、鎌を氷裏に向ける

氷裏は覚悟するように、決意するように目を瞑る

かがりは鎌を振りかざす
「………え?」
氷裏の目の前で鎌を止まっていた
「寸止め?」
氷裏が間の抜けた声を上げる


「嗚呼、そういう事。あたしが死んだら分からないモノね」
あざ笑う様に氷裏が言う
「…別に、いいわ。言わなくて」
かがりはソレを否定した


「あたしは、全てに“休止符”を打つと言ったでしょう。全てのしがらみを此処で断ち切る…」
かがりはそう言い歩き出す

元いた施設の方へ

「…!!アンタ、まさかっ!!!」
氷裏は無理やり身体をお越しかがりの後を追う


たどり着いたのはカプセルのコード先の機械
「…」
それを無言でかがりは見つめる
「!やめなさいっ!!ソレを壊したら…アンタは弟を完全に失うのよっ?!」
氷裏は叫ぶ
「そう…なら、壊さないと。もう…真を1人で冷たく苦しい空間にいてほしくない」
かがりは悟るように言う
「ダメよっ!!アンタは弟だけじゃない!あの子も失うのよっ!!!」
カプセル近くで気絶している少年を見て叫ぶ

「…貴女はどうして、こんなコトしたの?」
かがりは尋ねる



「アンタの弟を殺した時は始まりだった」
氷裏は語り始める
5年の時を



5年前、あたしは『漆黒の蝶を殺せ』と言われてアンタに会った
だけど、それはアンタの弟に邪魔されて失敗した
その時あたしの元には妹や弟といってもいいぐらいの子が数名いた
それを思い出したら…自分のした事に有り得ないぐらい後悔した

アンタの弟“真”の傷は酷過ぎて回復や完治は無理だった
それでも、このカプセルに入れる事で命を繋いだ

「これは、世間で言う“延命装置”」

そして、出会ったの。あの子に

初めて会ったとき、驚きで言葉を失ったわ

似すぎていた。貴女の弟に
その上、属性も一緒だった

ただ、違うのは…“心”がなかった


だから、あたしは貴女の弟の“真”の意思を“マコト”にいれた

真には身体が必要だった
マコトには心が必要だった


此処まで適合したモノが見つかるなんて、滅多にない
有り得ないといっていいぐらいに

だから…あたしは貴女の弟の思いと
あの子の存在を利用した





「…。そう、それが全て。貴女が知る、この子の5年間」
かがりは静かに言う
「…ありがとう」
かがりは氷裏に言う
「もう…あの子は自由なの。これから、本当の“心”もって、本当の“自分”を知っていくの」

「だから…」
かがりは機械の前で鎌を構える

「やめなさいっ!!!!傷つくのは貴女だけよ!!!!!」
「全てを、解放するっ!!!!!!」