二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.274 )
日時: 2011/12/30 15:22
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 53話「2人の弟」

突然響く破壊音

「…アンタ、何やったのかわかってるのっ?!」
氷裏が血相を変えて言う
「これが、壊れたということは、その子に…アンタの弟“真”の意思は伝わらない…それに、アンタは…」
氷裏は言いかけてやめる

「わかっている。あたしが…真に止めを刺した。ごめんね」
かがりカプセルに近づく
カプセルを開けるとそこには5年前と変わらない少年---真の姿

かがりは真を抱きしめる
「もう、1人にしないから…あたしも、今度は一緒に逝くから」
かがりは呟く

そして、足元に落ちていた窓の破片を持つ

「やめなっ!全てを捨てる気っ?!」
氷裏はあもう、かがりが殺すべき相手である事を忘れている

かがりがソレを首に突き立てたようとした瞬間にかがりの手に暖かな何かが触れた

「『おねぇちゃん…僕は死んでほしくない。僕のために、死なないで…おねぇちゃんは…生きて』」
涙を流すマコトの姿

「まだ…繋がっているの?」
かがりが困惑の表情をすると

「僕には分かるよ。真君の気持ち…ねぇ。僕はおねぇちゃんの本当の弟じゃないけど…死んだらヤダぁ!」


「ずっと…彼の意思で動いているうちに、本当の自分も心も生まれていたというの?」
氷裏が言う
「僕は、僕だ!マコトだよ…だけどね。真君の気持ちが分かる!!」

かがりは座り込んでしまった

「ハハっ…真。あたしは生きていいの?ねぇ…あたしは、あたしを“姉”というこの子と一緒に生きて…いいの」
問うように、泣きながら言う



---『おねぇちゃんは生きて。僕の分も…マコト君と一緒に。たくさん、笑って』---



聞こえるハズのない声が響く


その声が消えた頃、真の姿は淡く輝く光の粒となり消えてしまった


『おねぇちゃん、僕ね!大きくなったら強い魔道師になって、おねぇちゃんを守るから!』
脳裏に響くは幼い日のコトバ

「僕が…守るから。真君の変わりは出来ないかもしれないけど…強い魔道師になって、僕が守るから!」

---何よ。同じじゃない
  あの子とこの子は…
 あたしの-----------------------------------------------------------------2人の“弟”は---



「…凄い。知らないうちに生まれていた人格、そのものが…彼女を“姉”と慕い…」
氷裏は目の前での出来事を見て
「違う。真自身が、託した。マコトに…自分が出来なかった事を…それを、マコトが自分で『やる』と決めた」






「生きるよ…真。今まで、ありがとう」

隣にいる少年を見て

「帰ろう。2人で…マコト」