二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.286 )
日時: 2012/01/02 10:34
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 55話「自分を偽り続けた少女」

何時から…“あたし”は、いなくなったの?
何時から…“わたし”が、うまれてきたの?


忘れることの出来ない

“淡い記憶”

その中にある、偽りの少女



『澪!澪は…この事を国の皆に伝えてっ!!此処は私が食い止めるからっ!』
あの時、あの場所で少女は“あたし”に言った

『で、でもっ!あたしだって戦える!!』
先走った言葉はすぐに否定された
『しってる。だからこそ、国を守って。もし、此処で食い止める事が出来なかったら…
 此処で私も貴女も倒されたら、誰が国を守るのっ?!』
ソレを聞いたとき、少女の強さを見てしまった

自分より、5つ上の少女が、それでも子供の少女がとても大人に見えた



“あたし”は少女を置いて国に戻った

その事を後悔するのに、時間はあまりいらなかった


本当なら、此処に、魔物が来るか、少女が来るか、選択肢は2つだけのハズだった
なのに…どちらもこなかった



その後、捜索隊が出された

“あたし”が少女と別れた場所には戦闘痕はあれど少女の姿は見えない
いくら探しても…

あの時、“あたし”が残れば良かった

『あたしが………あたしの、せいだ』
一生消える事のない、後悔が突き刺さる

“あたし”は少女がどれだけ、この国にとって必要が知っている
“あたし”は…少女の夢も、想いも、全て知っている


国に必要なのが、“あたし”じゃなくて“わたし”ということも




--- 全部知っている ---



少女が帰ってこないことに、みんなが悲しんだ事も

次期王女確実と言われていた少女



誰からも必要とされ、“あたし”の憧れで、目標で…


あの日から、“あたし”は“わたし”になった


少女がいなくなってからの皆が“あたし”に向ける視線が、変わったから

『所詮、“あたし”は代わり。それでも…構わないけど』

自分を隠し、自分を偽り、自分を捨てて…






「代わりでも、構わない。だって…“わたし”は“あたし”だから」



少女に憧れて伸ばしていた髪を切ったのは…“あたし”の小さな反抗



“あたし”が、少女の願いを

「私が、貴女の夢を叶えます」

“わたし”は、少女の名を呼ぶ



「-----------------------------------------------------------------------------------心結姉様」