二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.300 )
- 日時: 2013/03/08 22:27
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
58話「純白の紅」
「澪ー今度からはもう少し早く帰らないとダメよ。もう、日が落ちるのが早いのだから」
「あ…うん」
心結は澪に言う
--- やっぱり、覚えてる。私の記憶…きっと夢だ。コレ…だけど、何か違和感がある ---
「聞いてるの?澪ぉ?」
「…!う、うん!」
心結は柔らかく笑う
「(心結姉様…だ。夢だって分かっているのに…どうして、こんなのに懐かしいの)」
*
「さぁて、そろそろ本当の悪夢の始まりかな?楽しい思い出は終わりだ」
*
「紅い…月?」
夜になると、月が出た。紅い月
心結は1人で外に出た
「…心結姉様?」
澪は後追うように外に出た
「何、コレ」
穏やかな街並みは消え、黒と紅の混相
「なによ。姉様?心結姉様っ?!!」
澪は叫ぶが声はすぐに空に消える
「何…何なのよ。コレ。紅い、月っ」
澪は空に昇る紅い月を見る
そると澪の足元に突然小さなナイフが落ちてきた
「ナイフ?」
飛んできた方向を見ると、紅に染まる少女がいた
純白の、それでいて紅の少女
「心結姉様…純白の、紅…!」
心結は澪を見ると笑う
「家から出てきたの?だから…早く帰らないとダメって言ったでしょう?」
心結は笑う。その姿は天使の様に愛らしく女神のように美しく
だけれど、落ちた人間の様に穢れに塗れていて
「実の妹を、手にかけたくなかったのに…澪のせいよ?家にいればよかったのに」
そう告げると心結は銀色の槍をつかみ澪の元へと駆ける
「っ!」
間一髪で澪が避ける
「あれぇ?澪、いつのまに…そんなに動けるようになったの?」
「姉様っ?!お願い!!目を覚ましてっ!!!」
澪の声は心結に届かない
--- 感じた違和感はコレ?私の記憶。だけど違う記憶…悪夢よ ---
「紅の…道化師。それが、“あたし”どんな時も、笑う。それは何も感じない道化の様で」
澪は心結の攻撃を交わしながら言う
「紅の染まった、落ちた人間。それが…紅の道化師!!」
澪は瞳を閉じる
閉じていても風で何処から攻撃が来るのか分かる
その瞳が開かれたとき-----“ユメ”は砕かれた
*
--- 瞳を開けた時、映る風景は私の知る場所だった ---
「もう…お目覚めかよ。紅の道化師」
悔しがるような声
「クス。道化を演じる道化師(ピエロ)には…無意味の悪夢だったみたいね」