二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.305 )
- 日時: 2012/01/05 09:36
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
60話「“ミユ”」
静かに風が舞う
「----と、このままお前を殺すのは簡単だ。だけど、聞きたい事があるんだ」
イクトは澪の首に長剣を突き付けながら言う
「………」
「お前、どうやってあの“ユメ”から戻ってきた」
「…“あたし”にとっての、憧れ。それに殺される、最悪な悪夢よ。だけど…所詮あたしは、感情のない道化師
1度戦うと決めたら、その間に迷いなんか存在しない。それに、あれは私の夢。私が、願えば…叶う」
澪は言う
「そーか。つまり、実の姉相手に戦う事を選んだってことか。そうか、そうやって…悪夢を」
イクトは納得するように呟く
「ホントに悪夢。もう逢えない、憧れに会ってそれと戦う…悪夢と言わずになんという?」
澪は儚く笑いイクトを見る
「でも、此処で終わりだ」
イクトが言う
その瞬間だった
鋭い風が吹く
2人の間に亀裂を走らせるように風が吹き荒れる
「「?!」」
その隙に地面に落としたロッドを拾い構え
風の発信源だろう方向を見る
「これは…?」
すると、澪の前には栗色の髪の少女がいた
「!!!!」
澪が目を見開く
イクトは少女を見ると
「ミユ!邪魔すんな!!」
「…彼女ヲ殺ス事ハ命ジラレテナイ」
ミユ、と呼ばれる少女は無表情のまま言う
「チッ…分かったよ。本当にっ。紅の道化師!次こそお前を倒すからなっ!!!」
イクトはそう言うとすぐにその場を去った
「…嘘」
澪はミユを見る
ミユは何も言わずに消える
風を使い
「心結、姉様…」
そこに
「澪ちゃん!!!大丈夫だった?」
冬花が走ってくる
「冬花。大丈夫よ」
澪は言う
「…澪ちゃん?」
*
戦う事を決めたから
だから、あのユメから目覚めた
ユメの姉様は、笑ってくれたから
『…心結姉様は、こんな事しない。これは…あたしのユメだから』
でも、ユメだろうと…
イクトと一緒にいた“ミユ”はきっと…心結姉様
どうして?
でも、“ミユ”からは、あの陽だまりの様な温かさは感じなかった
知りたい、知りたい。
アレが本当に、心結姉様だというなら
「あたしが、絶対救ってみせるから」
その晩の月は温かく輝いていた