二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.368 )
日時: 2012/04/05 20:14
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 75話「月神」

静まり返る国にこだまする少年の声


それを遮る金属音



ヒトはよろける

ソレを鋭く睨む金色の瞳



「…セントラル国民に手、出さないでもらえますか?」


冷たい声が響く


長い桜色の髪をなびかせ少女は少年の方へ振り返る

「もう大丈夫。彼方は私が守るから…ね?」
にこやかに笑みを浮かべる少女

少年は目に涙をためたまま頷く


「だから、ちょっとだけ待っててね」
少女はそう言うと
「≪蒼ノ月≫≪シャイニング・バリア≫」
少女は少年を眠らせたうえに光のバリアの中に入れる


「さて、相手しましょうか?化け物さん?」
明るい口調で言っているが顔は笑っていない
右手には“光刃”と言う刀を握り
鋭くヒトを見る

「セントラル国民に手を出そうとした罪。落とし前、つけてもらいますよ」


少女は、セントラル医療部でありながら戦闘力もセントラル魔道隊と同等の力を備え
“天癒の月神”の異名を持つ
その少女の名は -----天音美月-----






「行きます!!!」




何故彼女がこの場にいるのかと言うと少し時間を遡る事になる





「結界、張り終わったわね…だけど私は維持のために此処を離れることはできなさそうね」
ラティアは言う
「ですが、ラティア姫様。敵が結界を張り終える前に潜入していたら…」
リオンが言う
ラティアは小さく頷き自分の付き人でもある少女を見る

「美月。国内を見回って来て。1人でも逃げ遅れて…だなんて許さないわよ」
「了解ですよ。では、行ってきますね」


そして、現在にいたる




「どれだけ、侵入しているの?!倒して倒してもキリがない」
チラリと少年を見て美月はヒトを倒しながら悩む
「…やっぱり、この子を城へ連れて行かないと」
悩んだうえに美月は少年を抱える

「アナタ方の相手はまた後でしますよ。ですが、今は構っている暇は…ない!≪聖なる闇≫!!」
紫色の光がヒトを飲み込む

美月は少年を抱えたまま走り出す
わずかに後ろを振り返り美月は淡く笑う
「少しの間…“終わらない迷路”を彷徨(さまよ)って居てもらうよ?」


美月がたどりつくはセントラルの学校
この世界にも学校は存在する。ただ、力があると城の方で英才教育をうけるので学校に通わないだけ

「確か…あった」
学校のある部屋の机の下
美月はそこを思いっきり蹴り上げる
すると一部の床が動きそこには階段がある
「ここから、城に…」
それは緊急避難用にある地下室、そして城へと続く地下通路

美月が地下へと降りようとすると同時に響くは爆発音
「!!まさか…敵が?」
美月は静かに地下へと姿を消す

「ねぇ、起きて?」
少年の肩を揺さぶる
「ん?ん〜あ!さっきのお姉ちゃん!!」
「シッ!…ねぇ、走れる?」
「え?う、うん」
少年が頷くのを見て美月は地下通路をまっすぐ指さす
「じゃあ、この道をまっすぐ走って。そうしたらお城に着くわ」
「お姉ちゃんは?」
「私は残るから…大丈夫。これを持って行って、これを持っていれば絶対に無事で城まで行けるから」
美月は少年に小さな水晶のような石を渡す
「お守り。さぁ、行って!!!」
その声が合図となり少年は走る



美月は気配を消しながら上へと出る




「まぁだ、いる。でも…私だって負けないよ?」
不適な笑みを浮かべヒトを見る








美月は静かに攻撃魔法を唱える


「≪紅イ月≫」