二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.383 )
日時: 2012/04/05 20:15
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 79話「最高のタイミング」


「…ちょっと、邪魔しないで!」
「あーもう!アイツを倒せば終わるのにっ!!」
そらとかがりが言う



「おー。避けるのじょーずー。でもさぁ、避けるだけじゃ勝てないんだよ?」
アンが意地悪そうに笑う
「くっ!」
それでも美月は諦めるようなことはしない
「(負けたくない。負けたくない。負けたくない!こんな人に負けたくないっ!)」

「キャハハハハハハハハ♪次は結構速いよぉ〜」
アンは笑う
「≪ブラッティ・クロス≫!」
赤黒い逆さ十字が美月に向かって走る

「っ!!!」
美月は息を飲む



「あ゛ぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁあああぁああぁぁぁああああぁぁ!!!!」




悲痛な悲鳴がセントラル内に響き渡る


「っ!グぁ゛」
美月が自身の右腕を抑える

間一髪、避けることはできたが避けきることはできず右腕を犠牲にしてしまった

美月は医療部だ。治そうと思えば傷を癒すこともできるが、今はそんなことができる状況ではない


「間一髪…でも、その腕じゃ、刀。持てないよね?キャハハハハ」


「嫌だ。負けたくない、負けたくない…絶対に負けたくない。こんな人に、こんな人に」
美月が自分に言い聞かせるように呟きながら立ち上がる

そして、黒い刀を作り上げる
「ん?なぁにソレ?」
アンが楽しそうに聞く

「…闇刀」

それを左手でもつ

「アンタなんかにっアンタなんかに…負けたくないっ!!!!!!」




「言うね。でも、そんな思いだけで勝てるほど、この世界…甘くないんだよ?」


そう告げるアンの顔は今までと違う邪に満ちた顔
その笑みに身構えしてしまう

その身構えが命取りだった

「----え?」
アンはすでに美月の目の前にいた

手を伸ばせば届く距離

「アァァァアッ!!!」
アンが美月の右腕を掴む
「っ!」
「そんな腕になってまで、どうして戦おうとするの?」
人を見下す様な雰囲気で言う

「…ねぇ、妾。接近戦も得意…キャハハハハ」









美月の左足に痛みが走る

「あっ?!ぐぁ゛っ」
どうにか足を見ると左足には黒色の矢が刺さっていた

「アーチェリーってね本来は中距離とか長距離のモノなんだって。だけどさ…どうして皆気付かないんだろうね?」

アンは美月から離れ言う


「接近でつかった方が、近距離の方が外さないって」




美月は流石に左足で体を支えることが出来ずに崩れてしまう

それでも見上げる形でアンを見る



「ソレ、見たかったの。恐怖した顔…キャハハハハハハハハハ♪」





----- 考えろ、考えろ…こんな無様な姿、曝して…あたしは何のためにここにいるのっ?!
   何のために、今までやってきたの?あたしは…なんの役にも立ってない!!!
  
  そらさんもかがりさんも、こっちに来れるまでまだ時間がかかる
   でも後ちょっとなのに、その時間も稼げないのっ?! あたしは… -----


「あ゛、あ…ァっ!」
美月は左足に刺さっていた矢を抜く

「出血多量…って知ってるの?」
アンが言う


「邪魔なのよ。コレ…走りづらい」


「まぁだ、戦う気あるんだ。壊しがいのある奴」





その時だった


アンの顔が歪んだ

「っ!何コレ?」
小さな白色の羽がアンに刺さっていた


「何って聞かれたら、それは私の技と言うまで!」
元気な声

声の主は美月の前に立つ


「どうして…貴女がここに」

美月が驚きの声を上げる



「どうして--------------------------------------------------------------ティアラ姫!」

「色々あって遅れてしまいました。途中で反対方向に行ってしまって…」
「クレープ屋が無事か確認したかった!」
「どうしてか、は私が説明します」
リオンが美月のもとへ行き言う




セントラル城、地下

「ラティア姫様。繋がりました」
リオンはそういい魔水晶を持ってくる
それにはセントラル内部の映像が映っていた

『そんなの絶対、楽しい事じゃないっ!!!!!!』
『なら、止めてみなよ?』

魔水晶から聞こえる声
「今、国内に侵入した敵と美月さんが戦闘中です」
リオンが静かに言う
「…まずいわね」
魔水晶に映る光景を見て、ラティアが呟く


ザッと周りを見渡すが
「今ここにいるのは結界の維持で動けない者ばかり…」
そう言った後にある少女を見る

「リオン、あの子。連れて行ける?」
ラティアはリオンに聞く
だが、これは質問ではない
これは…命令だ

「やってみます」

リオンはラティアが指す少女、ラティアから見れば実の姉にあたる少女の元へ行く




「ティアラ姫様。行きましょうか?」
リオンが言うとティアラは
「ムリ!今クレープ食べるので忙しいから!!」
クレープを両手に持ち言う
少し離れたところでそれを聞いたラティアが
「貴女ねぇ!今がどういう状況が分かっているの?!」
「…だって、さっきここに移動するためにクレープ全部食べれなかったんだよ!!」
ラティアがティアラの処まで行こうとすると
「ラティア姫様。ここは私に任せてください」

「ティアラ姫様。今の状況はお分かりだと思います」
「そ、それでも行かないよ!たとえクレープを3つくれたとしてもね!!」
1度『ムリ』と言ってしまったため、今さら『行く』とは言いづらい

「…なら5つで」
リオンが言うと
「いや!後で食べるクレープより今食べたいの!!!」
「7つ」
「数の問題じゃないのっ!!」

リオンは少しためてから言う
「では…13つでどうですか!」

それを聞いた瞬間ティアラは上へとつながる階段に居た
「行く!!リオン!そこ何処っ?!」
「案内します」
リオンはティアラの後を追う


「…ティアラをよく分かっているわね」





「まぁ、3つでも良かったんだけど、交渉してみるものだね〜」
楽しそうに言う



「あー…あはは。ホントこの国の姫には構わない…最高のタイミングで来てくれるね」
美月が荒い息で言う

美月の方を見てティアラが言う

「美月、貴女をやったのは…アイツで、いいんだね」





「美月さん、怪我の処置始めますよ。特にこの左足と右腕…」
「ごめんね…これでも医療部なんだけど。派手にやっちゃった」






リオンは言う




「ここからは…炎の天使姫の独壇場です」