二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.407 )
- 日時: 2012/04/16 19:17
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
83話「欠けた石版」
セントラル城はいつになく騒がしかった
「どういうことなの」
冷静ではあるがイラついている声
「言ったままよ。アンの記憶が消された」
ツインテールを揺らしながらかがりは言う
「ラティア姫。本当ですよ…今回の敵は、思っていたより強大な様です」
美月が遠慮がちに言う
「闇の帝王“ゼレフ”どうしたものかしら」
ため息と共にラティアが言う
「一応、今つららと澪がアンを診てるけど…全てから記憶がないらしくて読み取る事は難しそうよ」
*
「ん〜つららぁ。この子、本気で何も覚えてないよ」
澪がムスっとした表情で言う
「物の記憶までキレイに失っている」
答えるようにつららが言う
そんな2人を不安そうに見るはアン
「あ、あのぅ。妾はいつまで此処にいればいいんですか?」
「どうなるのかな?アンは記憶が無いし…5年前の記憶は多少あるみたいだけど」
*
「そらぁっ!」
明るい声が響く
「ティアラ。どうかしたの?」
「うん!みんな何してるの?」
ティアラは不思議そうに見る
その方向には大量の資料を見ながら話し合う鬼道たち
「最近、闇が強くなってきている事はティアラも知っているでしょう」
そらが尋ねる
「うん」
「それをどうするか…千年前、世界は同じ状況にいたらしいのだけど」
そらは黙る
「じゃあ、同じ方法でいけば良いね!」
ティアラが笑うと
「その方法が分からないの…当てにしていた、石版は肝心な所が欠けていてね」
*
『昔のお話だよ。昔、世界は闇に飲み込まれかけたんだ』
少年は言う
『そうなの?じゃあどうやって闇を倒したの?』
少女は不思議そうに聞く
『それはね---------------------------------------------------------------------』
*
「ハァハァハァ…」
長い漆黒の髪の少女は荒い息のまま呟く
「なんで…もう、忘れたモノなのに…。もう、あの人と私には…何も存在しないのに」
--- どうして、思い出すの。あの人の顔を。笑った顔を。優しい瞳を
もう、何も無いのに…私が。捨ててしまったから ---
「都合が良いよね。必要な時は“傍にいてほしい”なんて…ソレを捨てたのも、断ち切ったのも…私なんだから」
青い空で少女は呟く
その声は響くことなく消え去る
「もうあの人は…私の--------------じゃないのだから」