二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.407 )
日時: 2012/04/16 19:17
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 83話「欠けた石版」

セントラル城はいつになく騒がしかった

「どういうことなの」
冷静ではあるがイラついている声

「言ったままよ。アンの記憶が消された」
ツインテールを揺らしながらかがりは言う
「ラティア姫。本当ですよ…今回の敵は、思っていたより強大な様です」
美月が遠慮がちに言う

「闇の帝王“ゼレフ”どうしたものかしら」
ため息と共にラティアが言う
「一応、今つららと澪がアンを診てるけど…全てから記憶がないらしくて読み取る事は難しそうよ」





「ん〜つららぁ。この子、本気で何も覚えてないよ」
澪がムスっとした表情で言う
「物の記憶までキレイに失っている」
答えるようにつららが言う

そんな2人を不安そうに見るはアン

「あ、あのぅ。妾はいつまで此処にいればいいんですか?」

「どうなるのかな?アンは記憶が無いし…5年前の記憶は多少あるみたいだけど」









「そらぁっ!」
明るい声が響く
「ティアラ。どうかしたの?」
「うん!みんな何してるの?」
ティアラは不思議そうに見る

その方向には大量の資料を見ながら話し合う鬼道たち
「最近、闇が強くなってきている事はティアラも知っているでしょう」
そらが尋ねる
「うん」
「それをどうするか…千年前、世界は同じ状況にいたらしいのだけど」
そらは黙る
「じゃあ、同じ方法でいけば良いね!」
ティアラが笑うと
「その方法が分からないの…当てにしていた、石版は肝心な所が欠けていてね」









『昔のお話だよ。昔、世界は闇に飲み込まれかけたんだ』
少年は言う
『そうなの?じゃあどうやって闇を倒したの?』
少女は不思議そうに聞く








『それはね---------------------------------------------------------------------』





「ハァハァハァ…」
長い漆黒の髪の少女は荒い息のまま呟く
「なんで…もう、忘れたモノなのに…。もう、あの人と私には…何も存在しないのに」


--- どうして、思い出すの。あの人の顔を。笑った顔を。優しい瞳を
  
  もう、何も無いのに…私が。捨ててしまったから ---








「都合が良いよね。必要な時は“傍にいてほしい”なんて…ソレを捨てたのも、断ち切ったのも…私なんだから」


青い空で少女は呟く

その声は響くことなく消え去る






「もうあの人は…私の--------------じゃないのだから」