二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.439 )
- 日時: 2012/07/08 09:28
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
93話「前夜」
1人の少年は冷たい金色の瞳で
1人の少女は潤んだ金色の瞳で
1人の少女を見ていた
「あ、あの…妾に何か?」
「…アンだね。出会った頃のアンだよ」
「あぁ。記憶って、簡単に消されるんだな」
アンを見て、ルーナがターナが言う
「貴方たちは妾に会ったことがあるのですか?」
その言葉で2人は顔を歪ませる
「うん。会うどころか…私たちは“家族”なんだよ」
ルーナが笑って言う
「か、ぞく?」
「あぁ。そうだ…僕たちは、共に過ごした。普通とは違うが…僕たちは家族だ」
ターナが言う
「…かぞく?妾には誰もいなかった…なのに」
「いるよ。アンの記憶が消えても、無くなっても…アンが私たちの友達で仲間で…家族ってこと
私たちは知ってる。覚えてる」
ルーナがポロポロと涙を落としながら言う
「「!」」
ルーナとターナを顔を見合わせた
アンの頬に一筋の雫が落ちた
「アン…?」
ターナがアンを見ると
「…っ。わからない。家族とか、妾には記憶ないから…わからない。だけど、貴方たちが言うことが本当なら
妾はすごく幸せ…妾には、家族なんて仲間なんて友達なんて、いなかったから」
アンはひたすらに繰り返し言った
“ありがとう”と
*
「僕たちに、何をさせたいんだ」
ターナは言う
「一緒に行ってほしくてね」
舞衣香が言う
「!私、たちも?」
ルーナが言う
「うん。そう」
菜乃香があっさり言う
「僕たちが何をしたのか知ってるだろ?大体、僕たちは-------」
「だから?」
舞衣香がターナを言葉を聞かずに言う
「確かに、アンタたちは氷裏たちの仲間。つまり、ゼレフ側だ。だけどね」
「助けたいんでしょ?」
舞衣香が菜乃香が言う
「助けたい、救いたい。だったら、貴方たちが…止めるべきなんだよ」
*
「何ができるかわからない。私なんていない方がいいかもしれない。だけど、それでも…」
少女は顔を上げる
「行かないといけない。そんな気がする」
*
「出発前夜って以外にやることないものね」
「普通はあるんだけどねー」
少女たちは言う
「だって元々行く予定だったから、準備できてるし」
*
「知りたい。あたしが知らない真実を…あたしが知るべき真実を」
「あまり気負わないで」
静かに声がかかる
「ゆうり…」
「真実を受け入れる覚悟があれば、それで大丈夫よ」
*
「でも急すぎて実感があまりない」
剣の手入れをする少年は言う
「まぁな。だけどさ、行くことになったんだ…やるしかないだろ?」
それ聞きもう1人の少年は応える
「そうだな」
*
--- すべての巫女が此処に揃おうとしている
はやく、もう…止めることができるのは貴女たちだけ
あたしたちじゃ何もできない
誰よりも近くで彼方を見ていたのに、あたしたちは何もできない
なんて悔しいことなの?
誰が本当に苦しんでいるかを知ってるのに
誰が、何の目的で動いているかも知ってるのに
何も…できない ---
銀色の髪は闇にまぎれ消えていく
「そう願っているのに…あたしは、戦うことを選んでしまう」
「なんて…愚か」
夜は明けようとしていた