二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.457 )
日時: 2012/07/27 20:53
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 99話「心が流すモノ」

記憶の中の貴方は優しく笑っています


なのに、目が覚めても貴方は笑ってくれないのですか






「…チッ!」
攻撃をかわしながら舞衣香が顔をしかめる
「ターナ!ルーナ!!アンタたちは先に行きな!!」

「「え?」」

その言葉に2人は驚く
「何言ってるの?!此奴、強いよ!!」
「そうさ。僕たち2人分の戦力がなくなるだけでもかなり…」
ルーナ、ターナが言う

「大丈夫だよ。私たちを誰と思っているの?」
菜乃香が言う
「それに、2人は氷裏さんを止めるんでしょう?」
秋が言う
「行け!ここは俺たちで大丈夫だ!」

ターナとルーナは顔を見合わせて走る
「先に行くから、追いついてこいよ!」
「待ってるからねっ!!」


2人が行くのを見送ると舞衣香が笑う

「行ったか…行かせたなら追いつかないといけないわね」

「円堂君…秋ちゃんを守っててね」
菜乃香が言う
「私なら大丈夫よ!」
「だーめ。秋ちゃん、分かっているでしょう。自分の使命を」
「っ…サポートに回るわ」
「お願いね」

円堂が剣を構える

「さぁて、ここからがインランス最強の腕の見せ所だ」








「何人いても変わらないな。そっちは4人でこっちは1人だって言うのに」

冷やかな声



「“ゲームオーバー”だ…」

冷たい声

冷たい目

「…邪魔者がさっさと片付いてよかった」
ルイは言う

その先にいる少女---つららは冷静に言う

「自分を偽って、自分を無理に言い聞かせて。本当の貴方は何処へ消えたの」

--- 先ほどまで熱かった。
   なのに、この状況で逆に頭が冴えてきた
   なにより彼の心が見やすくなってきた ---



「誰が喜ぶの。誰がソレで幸せになるの」


自分もあと一撃、場所に寄れば確実に倒れるというのにつららは冷静に言う



「っ!!うるせぇんだよっ!!」
ルイは警告の様につららの真横を攻撃する
そと1㎝でも右につららがいたら攻撃が当たっているだろう


「…貴方の大切な人が、ソレで喜ぶの」




つららの前に出ようとするが吹雪は動けず手を伸ばすだけ


春奈は浅い傷だが腕から血を流し陰に隠れ状況を窺っている
飛び出そうとする春奈を制しながらも剣を握りしめる鬼道


今、ルイと戦っているのはつらら1人




つららは強い光を目に宿しルイを見る


「まさか、お前がここまでやるとは思わなかったけど…これで、っ…」

ルイが黙る

ルイの視線の先

つららの2つの瞳から大粒の涙が零れるから



「泣いたって、もう何も変わらねぇ!!」
ルイが言う
だがそれは否定される

「違うっ!!」
つららが断言する


「泣いてるのは、私じゃないわ。泣いているのは、貴方よ」

「な、何言ってんだ!俺のどこが泣いてるって?!」
ルイが言う

「心が、泣いてる。イタイって、クルシイって、ツライって。心が泣いているのよ!!!」
「デタラメ言うんじゃねぇっ!俺は自分の意志でやってんだ!泣くわけがないだろっ」



「違う…自分の意志だから悲しくないの?違うよ。自分の意志だからこそ悲しいのよ
 自分で来たことが間違っていると知っているから、分かっているから痛いの、苦しいの、辛いの」

ルイの言うことを尽く否定していくつらら


「…何がわかんだよ。お前に、俺の何が…俺の何がわかるんだよっ!!」
「分からないよっ!!だって貴方は私に自分のことを言ってくれてないもの
 全てを察するだけで理解することは不可能よ。知ってほしいなら自分で伝えて!」

ルイが小さく震える

「俺は…----のために。アイツのために。そして…奴のためにっ俺はっ!!!」



言うと共に振り下ろされた腕。腕に握られるオレンジ色の炎の刀



青い炎がすべてを飲み込んだ



全ての音が無音と化した






無音に響く少女の声







「やっと、応えてくれたね」
そう言うつららの声は優しくて







「言ってくれないと、わからないんだよ」




その声だけが耳に残る















零れた雫は誰のモノ?