二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.457 )
- 日時: 2012/07/27 20:53
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
99話「心が流すモノ」
記憶の中の貴方は優しく笑っています
なのに、目が覚めても貴方は笑ってくれないのですか
*
「…チッ!」
攻撃をかわしながら舞衣香が顔をしかめる
「ターナ!ルーナ!!アンタたちは先に行きな!!」
「「え?」」
その言葉に2人は驚く
「何言ってるの?!此奴、強いよ!!」
「そうさ。僕たち2人分の戦力がなくなるだけでもかなり…」
ルーナ、ターナが言う
「大丈夫だよ。私たちを誰と思っているの?」
菜乃香が言う
「それに、2人は氷裏さんを止めるんでしょう?」
秋が言う
「行け!ここは俺たちで大丈夫だ!」
ターナとルーナは顔を見合わせて走る
「先に行くから、追いついてこいよ!」
「待ってるからねっ!!」
2人が行くのを見送ると舞衣香が笑う
「行ったか…行かせたなら追いつかないといけないわね」
「円堂君…秋ちゃんを守っててね」
菜乃香が言う
「私なら大丈夫よ!」
「だーめ。秋ちゃん、分かっているでしょう。自分の使命を」
「っ…サポートに回るわ」
「お願いね」
円堂が剣を構える
「さぁて、ここからがインランス最強の腕の見せ所だ」
*
「何人いても変わらないな。そっちは4人でこっちは1人だって言うのに」
冷やかな声
「“ゲームオーバー”だ…」
冷たい声
冷たい目
「…邪魔者がさっさと片付いてよかった」
ルイは言う
その先にいる少女---つららは冷静に言う
「自分を偽って、自分を無理に言い聞かせて。本当の貴方は何処へ消えたの」
--- 先ほどまで熱かった。
なのに、この状況で逆に頭が冴えてきた
なにより彼の心が見やすくなってきた ---
「誰が喜ぶの。誰がソレで幸せになるの」
自分もあと一撃、場所に寄れば確実に倒れるというのにつららは冷静に言う
「っ!!うるせぇんだよっ!!」
ルイは警告の様につららの真横を攻撃する
そと1㎝でも右につららがいたら攻撃が当たっているだろう
「…貴方の大切な人が、ソレで喜ぶの」
つららの前に出ようとするが吹雪は動けず手を伸ばすだけ
春奈は浅い傷だが腕から血を流し陰に隠れ状況を窺っている
飛び出そうとする春奈を制しながらも剣を握りしめる鬼道
今、ルイと戦っているのはつらら1人
つららは強い光を目に宿しルイを見る
「まさか、お前がここまでやるとは思わなかったけど…これで、っ…」
ルイが黙る
ルイの視線の先
つららの2つの瞳から大粒の涙が零れるから
「泣いたって、もう何も変わらねぇ!!」
ルイが言う
だがそれは否定される
「違うっ!!」
つららが断言する
「泣いてるのは、私じゃないわ。泣いているのは、貴方よ」
「な、何言ってんだ!俺のどこが泣いてるって?!」
ルイが言う
「心が、泣いてる。イタイって、クルシイって、ツライって。心が泣いているのよ!!!」
「デタラメ言うんじゃねぇっ!俺は自分の意志でやってんだ!泣くわけがないだろっ」
「違う…自分の意志だから悲しくないの?違うよ。自分の意志だからこそ悲しいのよ
自分で来たことが間違っていると知っているから、分かっているから痛いの、苦しいの、辛いの」
ルイの言うことを尽く否定していくつらら
「…何がわかんだよ。お前に、俺の何が…俺の何がわかるんだよっ!!」
「分からないよっ!!だって貴方は私に自分のことを言ってくれてないもの
全てを察するだけで理解することは不可能よ。知ってほしいなら自分で伝えて!」
ルイが小さく震える
「俺は…----のために。アイツのために。そして…奴のためにっ俺はっ!!!」
言うと共に振り下ろされた腕。腕に握られるオレンジ色の炎の刀
青い炎がすべてを飲み込んだ
全ての音が無音と化した
無音に響く少女の声
「やっと、応えてくれたね」
そう言うつららの声は優しくて
「言ってくれないと、わからないんだよ」
その声だけが耳に残る
零れた雫は誰のモノ?