二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.463 )
日時: 2012/08/11 15:50
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 101話「流れるは透明な」

昔、俺は生きている意味が分からなかった

大切だった者を守れず、なぜ今自分が生きているのかわからなかった

だが、アイツは俺に言った


俺にとって、アイツの言葉が…あいつ等が生きがいだった





場の空気がガラリと変わる


つららの、ルイの目の前にいる菫色の髪、翠色の瞳の少女


「ユノ…どうして」
ルイが震える声で言う

「声が…聞こえたから」
小さな声が応える


「まっくらな空間にずっといた気分よ。でも…『こっちだ』って声が。そして暖かな声が聞こえたの」
ルイを見た後つららに視線を移し
「大丈夫?」
声をかける
「は、はい」
ユノと呼ばれる少女は軽く微笑んだ後ルイを見直す

「何をしているの?」
ユノは問う

「お、俺は…俺はお前のためにっ!」
「誰が頼んだのっ?!」

「俺は…もう1度、お前と…お前とっ」
ルイが涙を流し言葉に詰まりながら言う
「バカ。私はね、死んでいいって思ってたのよ。だって、それでルイ。貴方は生きている
 それで充分だったの。本当に、バカ。自分に嘘ついて、自分を偽って…大切だと思ったモノも壊して」
ユノが目を細め言う

「あ、あの…ユノさん?」
「え?」
つららが話しかける
「辛かったんだと思います。大切な者がいなくなるって、いなくなった側じゃ想像のできないほど苦しいんです
 大切で、大事で…自分が死ぬことで相手が生きてるならって思えるほどなら尚更
 辛くて、苦しくて、痛くて…それほど貴方が大切だったんですよ。ルイ君は」







「姉様?!心結姉様っ!!」
「ミユ、やめろっ!こいつはお前の大切な家族だろっ!!」
澪がイクトがミユに言う


ミユは何も映っていない瞳から涙をポロポロと流し続ける

「み…お?」

それを聞いた瞬間に澪とイクトは叫ぶ
「澪です!心結姉様!澪はここにいます!!」

「ミユ!お前言ってたじゃねぇか!誇りだって、澪は自分の誇りだって!自慢の妹だって言ってたじゃねぇか
 それを自分で壊す気かっ?!!」



ミユが崩れ落ちた


「…いやだ。もう…いやだ。もう、あの子を傷つけるのはいや。ご、めんね」
涙を流す瞳には光が戻っていた










「もういいや」

唐突に出る言葉


「舞衣香?」


「円堂ー。アンタは秋は一緒に下がりなさい」
舞衣香が振り返り言う
「何言ってんだよ!」
円堂が反発する

「だぁーもうっ!わかんないの?アンタたちが近くにいると、巻き込む可能性があるの!」
「円堂君、ここは下がって。ちょっとだけコントロールが難しいの」
菜乃香が付け足すように言う
「秋ちゃんの結界なら充分守れるから、2人共下がってて」




「さぁて。戦姫の本領発揮と行きましょうか…?」
「そうだね。ターナ君たちに追いつかないといけなし…」






「≪雷帝・翔来≫」

唱えると同時に雷を纏った大きな狼が姿を現した







「不味いっ!」
美月は焦った
戦人の数は順調に減っていっている

だが前に戦ったときよりも強く感じられていた


「どう…なってるの?!前より、強い!」

目の前の戦人に集中するあまり後ろに回った戦人に反応しきれなかった


「…っ!」
目を見開いた

戦人の攻撃は当たる所と仕掛ける事もできていなかった


そこにいたのは山吹色の髪をもった少女


「どうしてっ」

「どうして?愚問よ。妾が、あの子たちの、みんなの…あのお方の-------------------家族だからよ」


強い光を瞳に宿しアンが言う


「敵にしたら恐ろしいけど、今は味方…でいいかしら?」
美月が問う


「今だけよ。あのお方を止める…それまでの間だけの共闘よ…!!」