二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.469 )
日時: 2012/08/17 11:06
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 103話「黒の言葉」

小さな頃から、ずっと言われてきた

 バケモノ

いつからか、それを否定することすらしなくなった


 疲れた
すべてに疲れていた

そんな妾を救ってくれたのは彼方の…そして、皆のおかげだった





「お願い…お願いだからっ」
リンが叫ぶ

「私から、みんなを取らないでっ!私から…家族を奪わないでっ!!!」


涙でぐちゃぐちゃになった顔で訴える


「…。家族の間違いを正そうとは、思わないの」
ゆうりが静かに問う

ゆうりはゆっくりとリンに近づく



「貴方にとって、此処にどれだけ大切なのか。貴方にとって、仲間が、家族がどれだけ大事なのかはわかった」
リンは顔を上げる

「でも…今自分のしていることが間違っていると、わかっているでしょう?」
「…知らない。知らないっ!あのお方は…私たちみたいな子が救われる場所を作りたいって言ったもん!」
動揺を隠すように言う





イクトは話していた
自分がここに来た理由を

「俺はずっと…実験体だった。正しくは、俺たちは…だ。

 孤児園という前置きをもった実験施設だ。それ以外は上の命令を受け動く手駒
 俺は戦闘力が高かったから動くだけの手駒の方だった
 失敗は許されない。失敗すればいつ死ぬか分からない…実験体だ」

イクトは苦しそうな顔をする

氷裏のとこもそんな感じだったはずだな、と付け加える



「俺は…死にたくないあまりに………」
黙り込む
「言わなくても、いいよ。辛いこと、話したくないこと、無理に話さなくて、いいんだよ」
澪が言う
「やっぱ姉妹だな。心結にも昔、そう言われた。この苦しみも辛さも…俺の罰だ」


「俺は、自分の手で----------------------------------------------------------------親友を殺した」








ゆうりはリンの目の前まで行き喚くリンを抱きしめる

「その考えは凄く立派。だけどね…やり方がダメなの。間違っているの
 それを、間違っているって教えるのも…家族なのよ」


「遅く…ない、かな…?今更じゃ、ないかな」

つっかえながら、泣きじゃくりながらリンが言う

「まだ、きっと間に合う」






「俺は、自分の命欲しさに、親友を殺した。後悔…とかそんなもんで表せないほどに悔いた
 そして、死のうとした。償いなんてできないから…でもそんな時だったアイツに会ったのは…
 アイツは、アイツらは俺に死なないでくれと、生きてくれと…」






「《裏切ったか。まぁ想定済みだ。もうすぐだ…もうすぐ》」


黒の少年は云う

  
  僕がなりたかったのは、どんなヒトだったかな


《誰か、止めて。誰か、助けて。彼を、彼らを…》







『逃げようか?』
銀色の少女は私に微笑みかけた


『一緒に行こうか』
黒の少年は私に笑みを浮かべ手を差し出してきた


  『…うん』

だから私は“家”(おり)を出た



『君が辛いというなら、僕も一緒に背負う。だから、死なないでくれ』
黒の少年は俺の手を握って言った


『生きて…探そう?償う方法を。一緒に探すから』
銀色の少女を俺を抱きしめそう告げた


その言葉を聞き俺は外へのトビラを開けた



『自分を壊す気っ?!』
焦るように叫んだ銀色の少女


『生きる理由なら僕らも探す。だから、生きてくれ』
黒の少年は俺にそう訴えた


俺は思い出すことができた。だがら俺は前へ進むために“枷”を外した



『凄いね。自然治癒が高い…素晴らしいことだよ』
黒の少年は妾にそう告げた


『一番槍ってところかな?何かを守るために必要な力だね』
銀色の少女はそう妾に微笑みかけた


はじめて評価された。それがとても嬉しくて
世界を見るために妾は“外見”(リード)を外した






ひとり、またひとりと

気が付いていく


本当のコトに





“ねぇ、貴方があたしにかけてくれた言葉は…なんだったかな”