二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.469 )
- 日時: 2012/08/17 11:06
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
103話「黒の言葉」
小さな頃から、ずっと言われてきた
バケモノ
いつからか、それを否定することすらしなくなった
疲れた
すべてに疲れていた
そんな妾を救ってくれたのは彼方の…そして、皆のおかげだった
*
「お願い…お願いだからっ」
リンが叫ぶ
「私から、みんなを取らないでっ!私から…家族を奪わないでっ!!!」
涙でぐちゃぐちゃになった顔で訴える
「…。家族の間違いを正そうとは、思わないの」
ゆうりが静かに問う
ゆうりはゆっくりとリンに近づく
「貴方にとって、此処にどれだけ大切なのか。貴方にとって、仲間が、家族がどれだけ大事なのかはわかった」
リンは顔を上げる
「でも…今自分のしていることが間違っていると、わかっているでしょう?」
「…知らない。知らないっ!あのお方は…私たちみたいな子が救われる場所を作りたいって言ったもん!」
動揺を隠すように言う
*
イクトは話していた
自分がここに来た理由を
「俺はずっと…実験体だった。正しくは、俺たちは…だ。
孤児園という前置きをもった実験施設だ。それ以外は上の命令を受け動く手駒
俺は戦闘力が高かったから動くだけの手駒の方だった
失敗は許されない。失敗すればいつ死ぬか分からない…実験体だ」
イクトは苦しそうな顔をする
氷裏のとこもそんな感じだったはずだな、と付け加える
「俺は…死にたくないあまりに………」
黙り込む
「言わなくても、いいよ。辛いこと、話したくないこと、無理に話さなくて、いいんだよ」
澪が言う
「やっぱ姉妹だな。心結にも昔、そう言われた。この苦しみも辛さも…俺の罰だ」
「俺は、自分の手で----------------------------------------------------------------親友を殺した」
*
ゆうりはリンの目の前まで行き喚くリンを抱きしめる
「その考えは凄く立派。だけどね…やり方がダメなの。間違っているの
それを、間違っているって教えるのも…家族なのよ」
「遅く…ない、かな…?今更じゃ、ないかな」
つっかえながら、泣きじゃくりながらリンが言う
「まだ、きっと間に合う」
*
「俺は、自分の命欲しさに、親友を殺した。後悔…とかそんなもんで表せないほどに悔いた
そして、死のうとした。償いなんてできないから…でもそんな時だったアイツに会ったのは…
アイツは、アイツらは俺に死なないでくれと、生きてくれと…」
*
「《裏切ったか。まぁ想定済みだ。もうすぐだ…もうすぐ》」
黒の少年は云う
僕がなりたかったのは、どんなヒトだったかな
《誰か、止めて。誰か、助けて。彼を、彼らを…》
*
『逃げようか?』
銀色の少女は私に微笑みかけた
『一緒に行こうか』
黒の少年は私に笑みを浮かべ手を差し出してきた
『…うん』
だから私は“家”(おり)を出た
『君が辛いというなら、僕も一緒に背負う。だから、死なないでくれ』
黒の少年は俺の手を握って言った
『生きて…探そう?償う方法を。一緒に探すから』
銀色の少女を俺を抱きしめそう告げた
その言葉を聞き俺は外へのトビラを開けた
『自分を壊す気っ?!』
焦るように叫んだ銀色の少女
『生きる理由なら僕らも探す。だから、生きてくれ』
黒の少年は俺にそう訴えた
俺は思い出すことができた。だがら俺は前へ進むために“枷”を外した
『凄いね。自然治癒が高い…素晴らしいことだよ』
黒の少年は妾にそう告げた
『一番槍ってところかな?何かを守るために必要な力だね』
銀色の少女はそう妾に微笑みかけた
はじめて評価された。それがとても嬉しくて
世界を見るために妾は“外見”(リード)を外した
*
ひとり、またひとりと
気が付いていく
本当のコトに
“ねぇ、貴方があたしにかけてくれた言葉は…なんだったかな”