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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.503 )
- 日時: 2013/02/11 16:11
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
112話「兄」
あの日のあの時
何も知らずに
何も気が付かないで
唯、泣いて 怒って 笑っていた
たったひとことで
あの人を傷つけて
ずっと一緒にいてくれた人を傷つけて
もう、会えなくなっていたはずの人
私の、せいで
私の、言葉で…
「こわい、よ…」
*
緊張が走る、重たく
「《会いたかったぞ。我が…妹》」
漆黒の髪をもつ少女を見据えゼレフの声が響く
「《よく来たな。待っていた…“リオン”》」
ゼレフの言葉に皆が反応しリオンを見る
「リオンが、妹…?」
一瞬にしてリオンの震えが消えた
「違う」
小さな声
強い光をもった黒色の瞳にうっすらと涙を浮かべ言う
「違う!違う、違う、違う…っ!!!」
「貴方は私のお兄ちゃんなんかじゃない!私のお兄ちゃんはもっと優しかった!!もっと強かった!
貴方は私のお兄ちゃんなんかじゃない…返してっ。私のお兄ちゃんを返してっ!!」
リオンの悲痛でありながらも純粋な叫び
ゼレフの笑い声が響いた
「《クッ…当たり前だ。お前のことは、この身体の持ち主が大事に大事に…大切にしていたからな
だから。安全に、傍に置いておこうと思っただけのことだ》」
“ダメだ”
声にならない言葉が誰かの心で響いた
*
あの日のあの時
発してしまったひとこと
ずっと、私を大切に思ってくれて
ずっと、私を見てくれていて
ずっと、私を守ってくれていていた人
これから先もずっと、一緒にいてくれたはずの人
私が傷つけた人
私の発してしまったひとことに傷つき
それから離れてしまった人
大切と大好きだった“お兄ちゃん”
私のひとことで_______________
*
ダメだ
此処にいては
ダメだ
来てはいけない
ダメだ。届かない
ダメだ…ダメだ
_______________逃げて
“僕が、あの笑顔を消してしまった”
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