二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.503 )
日時: 2013/02/11 16:11
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 112話「兄」

あの日のあの時

何も知らずに
何も気が付かないで

唯、泣いて 怒って 笑っていた


たったひとことで
あの人を傷つけて
ずっと一緒にいてくれた人を傷つけて


もう、会えなくなっていたはずの人

私の、せいで

私の、言葉で…




「こわい、よ…」






緊張が走る、重たく

「《会いたかったぞ。我が…妹》」

漆黒の髪をもつ少女を見据えゼレフの声が響く



「《よく来たな。待っていた…“リオン”》」


ゼレフの言葉に皆が反応しリオンを見る
「リオンが、妹…?」


一瞬にしてリオンの震えが消えた

「違う」
小さな声


強い光をもった黒色の瞳にうっすらと涙を浮かべ言う

「違う!違う、違う、違う…っ!!!」


「貴方は私のお兄ちゃんなんかじゃない!私のお兄ちゃんはもっと優しかった!!もっと強かった!
 貴方は私のお兄ちゃんなんかじゃない…返してっ。私のお兄ちゃんを返してっ!!」

リオンの悲痛でありながらも純粋な叫び

ゼレフの笑い声が響いた

「《クッ…当たり前だ。お前のことは、この身体の持ち主が大事に大事に…大切にしていたからな
  だから。安全に、傍に置いておこうと思っただけのことだ》」


“ダメだ”

声にならない言葉が誰かの心で響いた






あの日のあの時

発してしまったひとこと

ずっと、私を大切に思ってくれて
ずっと、私を見てくれていて
ずっと、私を守ってくれていていた人


これから先もずっと、一緒にいてくれたはずの人


私が傷つけた人
私の発してしまったひとことに傷つき
それから離れてしまった人

大切と大好きだった“お兄ちゃん”


私のひとことで_______________






ダメだ
此処にいては

ダメだ
来てはいけない


ダメだ。届かない

ダメだ…ダメだ


_______________逃げて





“僕が、あの笑顔を消してしまった”