二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.506 )
日時: 2013/02/28 22:59
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 113話「私の声」

こわい。やっぱり、こわい

私は弱い。誰も守れない
誰も救えない

たった1人の家族でさえも________






攻防戦、その言葉を使えばこの状況は説明できるのだろうか



「ゼレフ…やはり簡単には倒せそうにないわね」
「まぁこっちも本気じゃないし?」
冷静なラティアに笑いながらティアラが言う


「《この程度で何をほざいている》」
ゼレフが黒い鬼火を両手に言う


「この程度ってどの程度よっ!」
漆黒の大鎌を振りかざす

「《この程度…だろ》」

「っ!!!」
かがりの攻撃を片手で止める

「こっちもいるのだけど≪悪魔ノ十字≫」
瞬時に反対に移動したラティアが黒々しくも美しい十字、クロスを作り出す

「っ!(ここでソレ?!ラティアかなり本気じゃん)」
少し離れたところでサポートに回っていたそらとアフロディが冷や汗を浮かべる


「私もいっくよ〜!≪天使ノ円舞曲≫」
ゼレフの回りと不規則に飛ぶ音




それでも平静を崩さないゼレフ


むしろ、その表情は_________________








もう、だめだ。
何も聞こえない
何も感じない

君はいま、どこにいるのだろう

今もまだ、世界を怖がっているのだろうか


すべて、僕のせい


…なんだ。何か、聞こえる

誰の声…?








「…わた、し。私の、せい。お兄ちゃんを、苦しめて、悲しませて…ぜんぶ、私の」
離れた場所で震える声がリオンが言う

「…違うわ」


「ひょう、りさん」
否定の言葉を口にした氷裏を見る
「アイツは、レオンは。名前こそ口にはしなかったけど、ずっと貴女を気にしていた
 ずっと、貴女を思っていた。それに、ゼレフに乗り移られたというのに
 それでも貴女を気にするほどの影響力をゼレフに出した。それほど、貴女を大切にしているということ」

紅色の瞳がまっすぐにリオンを見る
まっすぐな瞳に吸い込まれるようだった

「…どう、すればいい…ですか」
「わからないわ。でも、聴こえるかもしれない。それほど大事で大切で大好きな貴女の声なら
 レオンに届くのかもしれない…」

“あたしの声は届かなくても”

目を伏せ、氷裏は言う



  “わたしのこえ”





「…やめて。お兄ちゃん。もうやめて、お兄ちゃんはこんな事する人じゃない、よっ
 優しくて、困っている人がいるなら自分を後回しにしても助ける…そんな人、だよ
 だから、やめて…」

リオンの弱くも芯のある声が金属音が響きわたる空間に響いた


「…レオン。聞こえてんでしょ?アンタの大切な妹の心(こえ)
 聞こえてるなら、返事しなさいよ。アンタが…アンタの、大切な奴の心(こえ)を聴きなさいっ!!」

氷裏の凛とした声


「謝るから、これからは、いい子にするから。今度は私が、お兄ちゃんを守るからっ…だからっ」

リオンの純粋な叫び




「………っ」
ゼレフに異変が起こった

「《やめっ…黙れっ。出てくる、なっ…》」

「何が…起こっているの」
ラティアの声が無音に通る



「…り、お…ん」









声がきこえる

誰の声だ

誰の声が、聴こえるんだ




“聴こえた声は強い光をもっていた”