二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: そこに空があるから [inzm] ( No.506 )
- 日時: 2013/02/28 22:59
- 名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)
113話「私の声」
こわい。やっぱり、こわい
私は弱い。誰も守れない
誰も救えない
たった1人の家族でさえも________
*
攻防戦、その言葉を使えばこの状況は説明できるのだろうか
「ゼレフ…やはり簡単には倒せそうにないわね」
「まぁこっちも本気じゃないし?」
冷静なラティアに笑いながらティアラが言う
「《この程度で何をほざいている》」
ゼレフが黒い鬼火を両手に言う
「この程度ってどの程度よっ!」
漆黒の大鎌を振りかざす
「《この程度…だろ》」
「っ!!!」
かがりの攻撃を片手で止める
「こっちもいるのだけど≪悪魔ノ十字≫」
瞬時に反対に移動したラティアが黒々しくも美しい十字、クロスを作り出す
「っ!(ここでソレ?!ラティアかなり本気じゃん)」
少し離れたところでサポートに回っていたそらとアフロディが冷や汗を浮かべる
「私もいっくよ〜!≪天使ノ円舞曲≫」
ゼレフの回りと不規則に飛ぶ音
それでも平静を崩さないゼレフ
むしろ、その表情は_________________
*
もう、だめだ。
何も聞こえない
何も感じない
君はいま、どこにいるのだろう
今もまだ、世界を怖がっているのだろうか
すべて、僕のせい
…なんだ。何か、聞こえる
誰の声…?
*
「…わた、し。私の、せい。お兄ちゃんを、苦しめて、悲しませて…ぜんぶ、私の」
離れた場所で震える声がリオンが言う
「…違うわ」
「ひょう、りさん」
否定の言葉を口にした氷裏を見る
「アイツは、レオンは。名前こそ口にはしなかったけど、ずっと貴女を気にしていた
ずっと、貴女を思っていた。それに、ゼレフに乗り移られたというのに
それでも貴女を気にするほどの影響力をゼレフに出した。それほど、貴女を大切にしているということ」
紅色の瞳がまっすぐにリオンを見る
まっすぐな瞳に吸い込まれるようだった
「…どう、すればいい…ですか」
「わからないわ。でも、聴こえるかもしれない。それほど大事で大切で大好きな貴女の声なら
レオンに届くのかもしれない…」
“あたしの声は届かなくても”
目を伏せ、氷裏は言う
“わたしのこえ”
「…やめて。お兄ちゃん。もうやめて、お兄ちゃんはこんな事する人じゃない、よっ
優しくて、困っている人がいるなら自分を後回しにしても助ける…そんな人、だよ
だから、やめて…」
リオンの弱くも芯のある声が金属音が響きわたる空間に響いた
「…レオン。聞こえてんでしょ?アンタの大切な妹の心(こえ)
聞こえてるなら、返事しなさいよ。アンタが…アンタの、大切な奴の心(こえ)を聴きなさいっ!!」
氷裏の凛とした声
「謝るから、これからは、いい子にするから。今度は私が、お兄ちゃんを守るからっ…だからっ」
リオンの純粋な叫び
「………っ」
ゼレフに異変が起こった
「《やめっ…黙れっ。出てくる、なっ…》」
「何が…起こっているの」
ラティアの声が無音に通る
「…り、お…ん」
*
声がきこえる
誰の声だ
誰の声が、聴こえるんだ
“聴こえた声は強い光をもっていた”