二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.514 )
日時: 2013/03/16 22:24
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 116話「ラスト・ブレッド」

《クック…茶番はここまでだ》

その声と共にレオンから黒い霧が出てゆく

声は木霊する

《揃った…我、甦りの最後のヒトツ》
嗤うような声

「誰…の声」
「ゼレフ…」
突如、響いた声に其々が警戒態勢にはいる

「氷裏…氷裏。氷裏っ」
荒い息を繰り返す氷裏を抱えひたすら愕然とした表情で呼びかけ続けるレオン

《レオン。お前はよく働いてくれた。氷裏もだ。お前のおかげで、我はこの地降り立とうぞ》

その声でレオンが上を見上げる
「どういう、事だ…」

《知らないよな。我…俺を呼び覚ますための最後のヒトツ。それを“血”だ》

氷裏から流れ出る大量の血

「アンタ…それで、氷裏をっ」
かがりが氷裏に視線を移し言う

《そうだ。どの血でもよかったのだが、やはり絶望を知り、終わる事を望んだ奴の血は良い
 “ラスト・ブレッド”流石…“終わりの巫女”の血を引くやつだ》

「終わりの巫女っ?!彼女がっ」
ラティアが氷裏へと視線を移す


「…それだけで、いいわけ。ない…でしょ」
途切れ途切れに届く声

「ホントに、必要な…終わりの巫女の、血なら…本当の“ラスト・ブレッド”なら
 とっくに、アンタは復活…できてる」

言葉を発していたのは氷裏だった

《なっ…まさか、貴様っ》

「あたしは、終わりの巫女なんかじゃない。ざまぁみろ…!!」

弱々しくも力強く氷裏は宙を睨み付けた


そんな氷裏とは裏腹にその場の誰もが驚いていた
氷裏は“終わりの巫女”の存在を知っていたことに
“集いの巫女”同様に表向きには現れなず、集いの巫女と対となる終わりの巫女
そして“自分ではない”と宣言している

顔は見えないがゼレフが怒りを露わとしている事がわかる

《っ…だが、もう誰も俺の邪魔はできない。全ては俺のための物語!!
 貴様達は俺の描く世界に必要ないっ!!!》

ゼレフが言いきると同時に何かが崩れる音がした

「な、何っ?!」
「城ごと壊すつもりですかっ?」
ティアラ、リオンが叫ぶ
「…っ!氷裏!!!」
かがりは氷裏、レオンの元へと走る
それを追う様にそらが続く
「レオン…。しっかりしなさい!氷裏の言葉を聞いていなかったのっ!!」
そらが言われレオンが顔を上げる
その瞳は先ほどとはまた違う光を放っていた

「まずい…皆、急いで!!」
「速くっ!」
ラティア、アフロディが叫ぶ

どうやら崩れいるのはこのフロアのみの様で
恐ろしく広いこのフロアを出れさえすれば、ひとまずは安心である


だが、間に合う事はなかった

崩れてゆく床
落ちてゆく瓦礫
足場を失い重力のまま





もしも、隣にいたのが私ではなく彼女だったならば
もしも、あの時もっと違う選択ができていれば
あの時、もっとはやく貴方に気付けていれば


“この今日(みらい)は違うモノだったの?”