二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: そこに空があるから [inzm] ( No.517 )
日時: 2013/04/21 16:27
名前: 夜桜 (ID: KY1ouKtv)

 118話「終わりの巫女」

何処かで、気が付いていた

唯、気付きたくはなかった

だって、そんな大きな責任を持つ事が怖かったから


「強がっても、やっぱり弱いんだよ…」




《待って。行かないで…!!》



響く声



「誰っ?!」
かがりの声が反響する

《此処にいます。貴方方には見えるはず。私は此処に…ずっと、待ち続けておりました》

「………漆黒の巫女。全てを終焉へと誘う巫女」
ラティアが言う

《そう、言伝えられていたのですね…。私は、私は“シオン・シャズ”》

「終わりの、巫女…?」
かがりが言う

彼女は、シオンは頷く

《私は、ずっと待っていた。貴方が来てくださるのを。彼を止めることが出来る貴方方を》

「どういう意味?待ってたって、何をっ」
かがりが言えばシオンは言う

《貴方をです _____カガリ》

シオンは告げた


《貴方は、私の後継者なのです。お願いいたします、力を貸してください。ゼレフを止めるために》








「痛い。イタイよ…。もう嫌。世界なんてなくなっちゃえばいいのに…」
涙を流す少女

「大丈夫?君、どうしたの?」
そう言って手を差し伸べてくれた彼方



「もう、終わりだ。この世界は…。認めてくれない、君を僕を…そんな世界、終わってしまえばいいんだ」
彼方は冷たい瞳をして言った

彼方が告げると、どんな事でも信じたくなってしまう

そんな私は、ほんとうに____________________愚かだった




「待ってっ!!あたしが巫女?!ふざけないで。そんなはずないっ」
かがりは言う
「いいえ。かがり、貴方よ。貴方以外、有り得ない」
ラティアが真っ直ぐかがりを見据えて言う

「私はずっと見てきた。貴方が、終わりの巫女なのよ。最後の巫女」

《その通りです“巡礼者”よ。》


「なんで、あたしなのっ?もっと他にいるでしょう…?氷裏だって、ラティアだって
 あたしにはそんな大層な力なんて…ない」
かがりが落胆した表情で言う


《貴方はここに来た。それは世界の破滅を防ぐため。ゼレフを止めるため
 ならば、貴方が巫女である理由は十分です。全ての元凶であり、世界を終わらせようとした
 私でさえ、巫女と呼ばれるのです。貴方ならばその資格があるのです》

「かがり…。貴方と初めて会った時、私は嬉しかったの。やっと、自分の生まれた意味を知る事ができたのだから。私は巡礼者、終わりの巫女を守護する者」
シオンが言い、ラティアが告げる

「ラティア…」
かがりは悩むように下を見るが、閉じた瞳を開き言う
「終わりの巫女とか、やっぱりあたしには分からない。だってあたしは特別でもなんでもないから
 でも…あたしの力が必要だっていうなら、あたしは…!」



シオンは語る
《千年前、愚かだったのです。私が彼を変えてしまった。彼は世界を終わらせたいのではない
 世界を変えたいのです。唯、満たされない心を抱え真実(ほんとう)の自分を見失っているだけで》


私が引き金だった
私が、彼と出会って彼を変えてしまった
優しかった彼を、強かった彼を
変えてしまった

私が望んだままに世界を終わらせようと、してしまった


《憎しみでは憎しみしか生まない。悲しみからは哀しみしか生まない
 それを誰かが噛みしめ、育まなければならない。私は、それが出来なかった
 結果、彼を“ゼレフ”としてしまった》



《きっと、出来るはずです。あの頃は出来なかった事を。違う結果を…》





ごめんね、ごめんね
私が弱いから、いつも守ってくれる、彼方を傷つけてしまう…

嗚呼、なんて愚かなのでしょう

私は、彼方を傷つけた。そして彼方を変えた



“ねぇ。独りじゃないんだよ________________________ ローグ ”