二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【テニスの王子様】 お茶のお供に、甘い話。  ( No.15 )
日時: 2011/11/29 15:42
名前: 生死騎士 (ID: IhKpDlGJ)
参照: 参照数50突破!記念短編!

○ 『二つの体温』(四天宝寺)



部活を終えて外に出ると、ここ数日無かった冷たい北風が顔を打った。
朝急いでいたからマフラーも手袋も無い。
これはきついな、とか思いながら一歩踏み出す。
そのとたん凄い強い風が吹いてきて・・・

「寒いっ!」

つい思っていることを叫んでしまった。

「なんや、椿姫。びっくりするやろ・・・」

いや、こっちが驚いた。
背後に何時の間にか幼馴染の謙也(先輩)の姿。
その隣には部長の白石先輩もいた。
白石先輩は私がなんの防寒装備もしてないのを見ると、少しかがんで私と目線を合わせた。

「椿姫ちゃん、マフラーとかどうしたん?」

絶対聞かれると思った。
部内では寒がりに定評のある私だ。
なんの装備も無しは珍しいに決まってる。

「持ってくる暇も無かったんです。誰かさんのせいで。」

「おい、それ俺のことか!?」

実を言うと、私が朝遅れたのには理由がある。
謙也だ。
全部言うとかなり時間がかかるので省くが、とにかく謙也が原因で遅刻ギリギリになってしまった。

「謙也、なにしとんねん。」

白石先輩が謙也を睨む。

「寒がりの椿姫ちゃんに辛い思いさせたらあかんよなぁ?」

「うっ・・・」

「責任とりや、謙也。」

そう言うと彼は今度は私に向き直った。
なにを言い出すのかと思いきや。

「椿姫ちゃん、手ぇ出して。」

「えっ・・・はい。」

わけも分からず差し出した右手を白石先輩がギュッと握った。
左手の包帯ごしに、彼の体温が伝わってくる。

「あの?」

戸惑う私に、白石先輩は笑ってみせる。

「もう日も暮れて真っ暗になっとるから、俺と謙也が家まで送ったるな!」

「ええ!?」

「はぁ!?」

二人の声が人の居なくなった部室に響く。

「なんで俺が!!」

「責任とれって言ったやろ?」

白石先輩が意地悪そうに言うと、謙也はひとつ大きなため息をついた。
そして私に右手を出す。

「ほら!」

「で・・・でもっ・・・」

「ええから!」

私の空の左手を半ば強引に握ると・・・

「行くで。早よ帰りたいわ。」

先にぐんぐんと歩き出してしまう。

右手には白石先輩の体温。
左手には謙也の体温。
冷え切った私の手は二人の温度に温められて。

楽しそうに笑う白石先輩と、不機嫌そうに顔を背ける謙也と、それから私。
部活とはまた違った雰囲気を味わいながら、私達は暗い帰り道を歩いていった。





─ アトガキ ─

今日めっちゃ寒かったんです!!
だからこの二人と手つないで帰れたら楽しいだろうなとか思って書いてしまったww
非リアの妄想力ナメんなよぉぉぉ!!!!!(燃)