二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【テニスの王子様】 お茶のお供に、甘い話。  ( No.3 )
日時: 2011/11/18 11:25
名前: 生死騎士 (ID: v8DmNHeA)


● 『白い、君。』 No,2


声の主はそのオーラとは裏腹に、どこか儚く大人びた雰囲気をもった子だった。
制服が新しいところを見ると、同じ新入生らしい。

「あんなゴツい奴に突き飛ばされたら、肩はずれるよね。痛くない?」

そう言うとその子は私の突き飛ばされた方の肩にそっと触れた。

「力のかかる場所によっては脱臼する確率が30%だ。」

「どうする?保健室連れて行ってもらう?」

そこまで言われて、私はやっと声を絞り出した。

「あの・・・私は大丈夫だから・・・助けてくれて有難う御座いました。」

軽く頭を下げると、私はこの場から立ち去ろうとした。
このまま一緒にいればこの人たちにも迷惑がかかるかもしれないのを恐れて。

でも彼は私を引きとめた。

「君、一人なら俺達と一緒に行かない?」

「え・・・でも・・・」

「君の病気、感染るものじゃないんでしょ?」

心のなかを見透かされたようだった。

「おいで。一緒に行こうよ。」

「・・・うん・・・」

今まで私に向けられてきた中のどれよりも優しい言葉。
気がつけば私は素直に頷いていた。



結局そのあと、あまり時間がなくて自己紹介をする間もなく入学式が始まってしまったのだけれども、式が全部終わって新しい教室に入ると、三人が自分から話しかけてきてくれた。

「俺は柳蓮二だ。・・・弦一郎、自己紹介ぐらいしろ。」

柳くんが促すと、先ほどまで横を向いていた長身の男の子がぼそっと呟いた。

「・・・真田、弦一郎だ。」

その態度に、やはり私が居ては駄目だったのでは・・・と後悔していると、最初に私に声をかけてくれた男の子がフフッと笑った。

「真田、照れてるだけだから。気にしなくていいよ。」

「そうなの?」

「せっ・・・精市!!」

真田くんが焦ったように叫ぶのも無視して、彼は私の方に向き直る。

「俺は幸村精市。君は?」

「あ・・・私は、城崎雅樂。」

「そう、いい名前だね。よろしく、雅樂。」

差し出された右手に自分の手を重ね、握手を交わすのも久しぶりのことだった。

とたん、感じた恐怖。
この人たちも私が使い物にならないと知ったら、いつか離れていってしまうのだろうか?
いつかあの視線を向けるようになってしまうのだろうか?
私はそれが怖かった。

私が俯いていると、幸村くんが心配そうに声をかけてきた。

「雅樂、どうしたの?」

「えっと・・・なんでもないよ。」

とっさに首を振ったものの、彼が見逃すことはなかった。

「・・・あとで、一緒に来てくれる?話聞くから。」