二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【テニスの王子様】 お茶のお供に、甘い話。  ( No.5 )
日時: 2011/11/20 20:05
名前: 生死騎士 (ID: v8DmNHeA)

● 『白い、君。』 No,4



あれから約2年という月日が経った。
幸村くん──精市たちはテニス部に入部し、今や立海の『3強(ビックスリー)』とまで呼ばれるほどの実力になっていた。
精市は『神の子』、弦一郎は『皇帝』、蓮二は『参謀』。
三人それぞれに異名までつくぐらい。
もはやこの学校で彼らに逆らえる人など居ない。

・・・と、まぁなんとも素晴らしい人たちに守られてきた私はというと、彼らと同じテニス部のマネージャーとして、日々雑務に明け暮れていた。
そうは言ってもあまり無理はできないので度々休憩をいれながらの仕事だ。
体力的に厳しいときもあったけれど、すごくやりがいのある仕事。
今まで何もできなかった私にはとても有難かった。


「雅樂先輩〜 何か手伝いましょうか?」

「うん・・・じゃあそこの資料、精市に届けてきてくれないかな?」

「了解っす!」

後輩である赤也が資料を手に廊下を走っていくのを見送って、自分は備品の整理に戻る。

部員の皆は優しい。
赤也もそうだけど、私があまり働けないのを知っても誰も苛めてきたりしなかった。
今までやられてきたことの全てが嘘のように。
少しは精市たちのお陰もあるかも知れないけど、それでも今の私は十分に幸せだ。

そんなことを思っていると、背後にスッと人の気配。
こみ上げてきた笑いを必死にかみ殺すと、気がついていないような風を装ってタイミングを図る。
・・・3、2、1・・・

「ぷりっ」

「セーフ。」

後ろから抱き付こうとしてきた仁王の腕は私がしゃがんだことにより、空を掴む結果となった。
心底悔しそうな顔をする仁王に笑ってみせる。

「詐欺師もまだまだだね。」

するとおかしいことに仁王もニカッと笑う。


「まだまだなのはお前さんの方じゃ。」

「は・・・」

「雅樂捕獲ー!!」

気がつかなかった。
物陰に隠れていたブン太に飛びつかれて、身動き不可能な状態に陥る。

「詐欺師をなめたらいかんぜよ。」

「やっと捕まえたぜぃ!」

「うう・・・」

この二人はいつも不意をついて抱きしめようとしてくる。
それは二人の性格だからしょうがないとしても。
とにかく仕事の邪魔になるので、いつもなら軽く避ける事ができたのだが・・・
今日はどうやら手を組んできたらしい。

「もー、仕事の邪魔になるから離れて!」

「「嫌だ」」

手で押しのけても、ちっとも離れようとしない。
これじゃ備品の整理は今日中に終わらないな・・・と思っていると。

「なにしてんの、二人とも?」

いつにも増して凄いオーラを出している精市が部室のドアの前に立っていた。