二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマ 銀色の歌姫〜最終楽章〜 ( No.100 )
- 日時: 2012/03/10 18:54
- 名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: UcmONG3e)
第十三楽章
——幻想は夢。
「なぁ…風丸。」
——夢は叶えば現となる。
「私は…こんなに幸せで、いいのか?」
——夢から覚めれば現となる。
「私は、こんなに人を不幸にして、生きる価値はないんだろう?」
——現もまた、夢の一房。
「私は、死ねばいいんだろう?」
——少女の、歪んだ愛情、友情、感情。
「『ティル・オイレンシュピーゲル』の様に、
『ジョバンニ』の様に、
『パペット』の様に、
『ウンディーネ』の様に、
『オデット』の様に、
『カーレン』の様に、
『ファントム』の様に、
哀れに、悼まれ、壊され、嫌われ、悪態をつけられ、生き地獄にされ、
差別されて…
死んでいった方が、いいのだろう?」
——ただただ、歪んで。
— 丑ノ刻 オペラハウスにて —
「おやまぁ、本当に来たとはねぇ…」
白い仮面を半分かぶった和奏は、入口付近で起っていた。
「…約束だからな。」
「約束?そっちが引き下がらないだけじゃないか。
大体、こんな事をする予定はなかったんだ。」
和奏は、眉を寄せ、低い声で呟いた。
だが、そんな事は気にしない。
「風丸、顔色が悪いぞ?」
円堂が心配して顔を覗き込む。
俺は、「大丈夫だ。」と答え、オペラハウスへと入った。
オペラハウスに入ると、天井が開いていた。
冷気が入ってきて、正直に言うととても寒い。
ここは北海道だ。さらに、夜のせいで一気に冷える。
これじゃあ、満足なプレイは…
そう思った瞬間、俺は自分で自分の爪を剥いだ。
「!?」
「風丸、お前何を——ッ!」
「…そうやって」
俺は、呟いた。
指からは血が滴り落ちている。
痛い。
「そうやってまた、俺は逃げようとする…!」
そう、俺はまた「寒いから」「痛いから」などと、幼稚な言い訳をして逃げようとする。
そういう発言、行動から——
和奏は呆れたのではないか。
「俺は、これから正直なプレイで、逃げずに戦う!!
だから、かかってこい、和奏!!」
和奏の顔は、青ざめていた。
「ぁ……」
一瞬うつむいたが、また和奏は顔を上げた。
「何をやっているんだ、お前は。
まぁいい、意味も分らない奴など、相手ではない。」
すぐさま、皮肉な笑みを浮かべた。