二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマ 銀色の歌姫〜最終楽章〜 ( No.113 )
- 日時: 2012/03/29 18:40
- 名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: tA56XhER)
第十五楽章
———怖い。
「私はバケモノだ。
今なら、お前だって肯定するはずだ。そうだろう?」
「ぁ………」
違う、和奏は……
「そうだろう?
お前は私の事を怖がっている。」
『違う』と、言いたい。
けれど、声が出ない。
「違う!」
円堂が、叫んだ。
和奏たちにやられた、ボロボロな姿で。
「お前たちは、化物なんかじゃない!」
「…本当、世の中には馬鹿がいるもんだな。」
和奏は、軽く舌打ちをして、自分のポジションに戻っていった。
「風丸、大丈夫か?」
円堂は、俺の手を引く。
「……言い返せなかったんだ。」
「え?」
目から、涙があふれてきた。
「和奏たちは、化物なんかじゃないって——ッ
そう、言い返そうとしたのにッ…
俺は、言い返せなかったんだ!」
涙が止まらない。
なんで泣いてるのかもわからない。
なんでだろう。
すると、円堂が俺の頬を両手で挟んだ。
パァン、という音を響かせて。
「取り戻すんだ。」
「え…?」
円堂は、大声を荒げた。
「和奏たちに、教えるんだ!
『お前たちはバケモノじゃない』って!」
———後半戦。
「なんだ、来たのか。
怖気ついて、来ないかと思ったよ。」
和奏は、にやりと笑う。
「そんなわけない。」
「…あぁ、そう。」
「あっははは!」
エルザが、一気に上がってくる。
速い——けど、止めてやる!
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「ッ!?」
俺は、エルザからボールを奪った。
「貰った!」
「…まだ、序の口よ!」
今度は、ティルがこっちに向かってくる。
「吹雪!」
俺は、すかさず吹雪にパスを送った。
吹雪は上がっていく。
「くっそ……ッ」
「豪炎寺君!」
吹雪は、豪炎寺にパスをする。
そして、豪炎寺はそのままシュートを——
「点を入れれると思ってたら大間違いだ!」
DFの和奏が、豪炎寺をにらみつける。
「ティアラガーデン!」
和奏が手を広げたすきに、太陽のガーデンが輝いた。
「ッ……」
気がつくと、和奏は豪炎寺からボールを奪っていた。
「なに!?」
「フン…」
和奏が、一気に上がろうとする。
「和みの協奏曲 —なごみのコンチェルト—!」
一瞬にして、心地よい和音が流れた。
気を失いそうになる。
「…私は、この子たちを守らないと……ッ」
和奏がドリブルをしながら、叫ぶ。
「私は、この子たちだけでも幸せにするんだ!」
和奏が放つ、シュート。
「ミルキーウェイ!!!!!」
星が流れる。
天の川が流れる。
そのシュートはまるで、満天の夜空———。
「止めるッ……」
円堂が構えた瞬間だった。
「エンジェルサークル!」 「デビルサークル!」
ジョバンニが、カムパネルラが、和奏のシュートを更にシュートで繋ぐ。
シュートチェイン。
点差は、開いていた。