二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマ 銀色の歌姫〜最終楽章〜 ( No.127 )
日時: 2012/05/24 18:59
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: ujrmNVNs)














「ぱんぱかぱーん!!
 今日、和奏さんがヨーロッパへ飛び立つというので、和奏さんのお別れ会をやりま—っす!」

「イエ—イ!!!」

「…テンションが高いが大丈夫か?」







第二十三楽章







今日、和奏がヨーロッパへ飛び立つ。

時間の流れは早いもんだ。

ついこの間、和奏と戦ったような気さえしてくる。


「さぁさぁ、最初は和奏さんVSキャプテンの大乱闘!結果はいかに!?」

「それ、俺が瞬殺されるから!!」

「面白そうだな、いいだろう。やってやんよ。」

「マジで!?」


本当に和奏は行ってしまうのだろうか。

和奏が最後の最後になって、「やっぱり嘘でしたー」とか、言わないのだろうか。

正直なところ、俺は和奏に行ってほしくないのだ。

なんて下賤な奴だろう、と俺は思った。



「やっぱり瞬殺でしたねー。ナムサーン。」

「え、円堂くん!?」

「……返事がない。ただの屍の様だ。」

「俺の扱い酷くね!?」

「生きてた。」



俺は、和奏とずっと一緒に居たかったらしい。

自分が、自分の事を分らなかったんだな。

俺は…俺は、和奏が、









「風丸、お前も入ってこいよ!」








好きだったのだろうか。




                  ♪  〜  ♯  〜  ♭








「どうしたんだよ、風丸。」


和奏は俺の顔を覗き込んでいた。

そして、眉を上げながらそういったのだ。


「お前一人、うかない顔だぞ?」

「あ、あぁ。すまん。」

「…?」



和奏は、機嫌が悪そうに俺の方をじーっと見た。



「まぁまぁ、和奏さん!
 風丸先輩は、何か考え事をしてるんですよ、きっと!」

「そうなのか…?」



そう言って、音無が和奏を連れて行ってしまった。










                  ♪  〜  ♯  〜  ♭






「今日はありがとう。楽しかった。」

「和奏ちゃん…ずっと覚えててね?また、何処かで会おうね?」

「あぁ、約束だ。」

「木野先輩だけ酷いです!私も!」

「私も。きっとどこかで会えるって、信じてるわ。」

「今度は、和奏さんのお迎えパーティをしましょう。」



そう言って、マネージャーと和奏はみんなで指切りをしていた。



「それじゃあな、和奏!」

「円堂、じゃあな。」

「…怪我した場合は、稲妻総合病院まで。」

「ヨーロッパから日本まで行くのかよ!?
 …まぁ、何かあった場合は行くよ。ありがとうな。豪炎寺。」




そうして、和奏は俺の方に顔を向けた。


「風丸、じゃあな。」

「…あぁ。」






そう言って、和奏は俺たちに背を向けた。






「また何処かで。」























行ってしまった。



背中はもう見えなくなっている。



本当に、行ってしまった。








「風丸先輩、」


音無は、俺に紙切れを渡した。


「この場所に、和奏さんが向かってる港があります。」


「音無…?」


「まだ、和奏ちゃんと別れたくなかったんでしょ?」


「木野……」


「最後のお別れは、お前がしてやれ。」


「豪炎寺……」


「行って来い、風丸!!」


「円堂……」







そして俺は、外へ駈け出して行った。






「ありがとう。
    行ってくるよ。」















「銀色の歌姫」次回、完結。