二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマ 銀色の歌姫〜最終楽章〜 ( No.34 )
日時: 2011/12/09 22:07
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: hifG5fZX)

第五楽章









きっとこれは、長い長い夢なんだ。



            きっと、そうに違いない。


       だって、立て続けに知り合いが瀕死になるなんて…




                            そんな事、あるわけないだろう?








    そんな、俺の理想を打ち砕くかのように、


    和奏はただ虚ろな目を、何処かに向け、血を吐き続けている。


  周りの人たちは、騒がしく叫んだり、言葉を失ったりしている。






      —何が、起こったのだろう?—






      和奏の周りは、あふれ続ける血で埋め尽くされている。



      なにもかも、紅い。紅い紅い紅い紅い。





      和奏の手には、真っ白の仮面があった。

 
      その仮面も、血で汚れている。





「秋……か、?」



「和奏ちゃん…?和奏ちゃん!」



和奏は、突然言葉を紡ぎ始めた。





「よかった…、無事で、
 
 私…頑張ったんだ。ずっと色んな事を我慢して、それで…」









  和奏は、突然あやしげに笑いだした。






     「私が、死にそうになったから、秋が戻ってきたんだよなぁ?」





突然言い出す和奏。

何のことを言ってるんだ?






「私のせいで秋が死にそうになった。
 全ては私のわがままのせいだ。
 
 けど、私は————。」





口元が、二ィとつりあがる。








        「バケモノに魂を売ったんだよ、私は。」




「…何を、言っているの?」





        「私の魂はファントムに乗っ取らせた。
         だって、そうしたら秋は戻ってくるんだろう?」




「変なこと…言わないでよ!」








      「現に秋は、ここにいる。」














何かに取りつかれたように、和奏はしゃべりだした。











 「私もね、本当はファントムに魂を売りたくなかったんだよ。
  でもね、心の中のファントムがこういってくるの。
  『お前のせいで、秋は消えた。なら、それを償う理由はありだろう?』…ってね?
  しょうがないじゃない、私のせいよ。
  全て全て全て全て、私が起こした事件は人が死ぬ。
  なんで?私はもう、人が死ぬ所を見たくないんだよ?
  なのにね、人々は私の歌を聞くと勝手に倒れで血を出している。
  私はもう、歌姫じゃなくなった。穢れまみれたファントムよ。」





和奏は急に俺の方へ見つめる。




  「なぁ風丸。
   お前は、人を殺した私を信用できるか?」




手には、ナイフを持っていた。



  「私は、人間を殺したんだぞ?」



じりじりと、真っ赤にした手にナイフを持ち、俺の方へ寄ってくる。




  「さぁ、信用してくれるか?
   私のことを、信用できるか?
   これでも私のことを、バケモノと呼ばないのか?」





何も言えなかった。


俺は、ただ目の前に迫りくる恐怖でいっぱいだった。


なんでだろう。


前まで、大切な仲間だったのに。


今では、本当に———。






「風丸、なんでそんなに恐怖を抱いた目でこっちを見るんだ?

 まるで、“バケモノ”でも見るかのような目で——。」











和奏は、ずっと俺の方へ見て、


それからすっと、ドアの外へ出た。


































































































「だから人間は、嫌いなんだ。」