二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマ 銀色の歌姫〜最終楽章〜 ( No.98 )
- 日時: 2012/02/20 19:00
- 名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: SnkfRJLh)
- 参照: 地獄の底から、舞い戻ってきt((((
第十一楽章
「まぁ、今は物語の人物になっているけどね。」
そう、彼女は言った。
「自己紹介と行きましょうか?
私の名前は“エルザ”
『エルザの大聖堂への行列』のエルザよ。」
金色のウェーブの髪を揺らし、彼女は答えた。
「俺は“ティル”
『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』のティルさ。」
彼は、少し毒のある笑みでそう答えた。
「…“アリス”
『不思議の国のアリス』…」
ピンクのリボンを頭に付けた彼女の目は、深く病んでいた。
「“ウンディーネ”。
『水妖記』のヒロインよ?」
水色の長髪、彼女は本当に妖怪なのではないか、と思うほど肌が青白かった。
「“チルチル”と、“ミチル”!」
「『青い鳥』の兄妹と一緒だよ!」
小さな兄妹は、仲をよさそうに手をつなぐ。
「え、あ…えっと…“ジョバンニ”…で、いいんだよね…?」
「少しはちゃんといいなさいよ!…“カムパネルラ”
『銀河鉄道の夜』から引用したわ。」
弱気な少年と、強気な少女がそういう。
「“パペット”
『ペトル—シュカ』に出てくる人形さ。」
彼は、いたるところに包帯を巻いている。
「“カーレン”です。
『赤い靴』に出てくる少女ですよ。」
紅い靴を吐いた少女が、にっこりと笑う。
そうして、最後に和奏だけが残った。
「…“ファントム”。
『オペラ座の怪人』の化物だ。」
そう、淡々と呟く。
もう、楽しかったころの彼女のようには、二度とならないのだろうか。
「…で、彼らをまだ追い出せてないの?」
「しょうがないだろう、あいつらが出て行こうとしないんだ。」
「何なら、俺がいっちょ大きな悪戯でも…」
「あんたの悪戯はいちいちうざいのよ!!」
「か、カムパネルラァ……」
「まぁまぁ、こういう時は踊るのが一番ですよ?楽しくなりますし。」
「いっそのこと、私が愛を教えてあげようかしら…?」
「………」
「落ち着いて!」 「とにかく笑おう?」
「俺が生き地獄ってのを味あわせてやればいいんだな?」
急にざわざわと騒ぎ出す彼ら。
すると、冷淡な声が聞こえた。
「五月蝿い、黙れ。」
和奏の声で、彼らは一瞬で鎮まった。
「出ていかない気だったら、こういうのはどうだ?
私達とお前らが、サッカーで勝負する。
私達が勝ったらお前らには出てってもらう。
お前らが勝ったら……」
和奏が放つ言葉が、だんだん小さくなる。
「…まぁ、それはあとで決めるとしよう。
戦うのは明日の深夜。」
和奏の顔が、皮肉そうに笑う。