二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン/GO 時空を越えた出会い ( No.10 )
- 日時: 2011/11/23 16:52
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
- 参照: ストーリーめちゃくちゃ〜www
1 スベテの始まり
これは30分くらい前の話だ————
「おはようございます!!!キャプテン!!!霧野先輩!!!」
雷門中サッカー部所属の一年、松風天馬は元気よく挨拶をした。
今年、晴れて憧れの雷門中に入り、最初こそは溶け込めなかったものの、今ではキャプテンとも、そして、かつて敵視していたフィフスセクターからの使者、剣城京介とも仲良くやっている。
それから、雷門サッカー部は大きく変わった。
フィフスセクターの管理サッカーに反発し、彼らは“革命”という名の“カゼ”を起こそうとしている。
「あぁ、おはよう。天馬」
ウェーブのかかった灰茶色の髪の少年—サッカー部キャプテン神童拓人と、おさげのピンク色の少年—霧野蘭丸も彼の挨拶に応えた。
「天馬、信助は…?」
西園信助—天馬ととても仲が良く、いつも一緒に登校しているはずの小さなあの姿が珍しく、どこにもいない。
「あっ、忘れ物したみたいで、さっき家まで疾走していきました」
「そ、そうか;」
素直に答えてくれた天馬に、苦笑をこぼす神童と霧野。腕時計の針をみると、ホームルームまで時間はたくさん余っているが、果たしてサッカー部の朝練に信助は間に合うのだろうか。
「霧野、天馬、先に行っててくれ。俺は少し教室に取りに行くものがあるから」
「あぁ」
一旦、神童と別れ、霧野と天馬は部室と呼ぶには大きすぎる、サッカー棟へと向かった。
「おはようございます!!!」
天馬の元気な声とは裏腹に、辺りはなぜかシーンとしていた。
よくみると、先に来ていたメンバーたちは、一か所に集まって何かを取り囲むようにして、床を覗き込んでいる。
「…?どうか、したんですか?」
「いや…この機械がな…」
「俺が来たときにあったんです…さ、触らない方がいいと思う…」
一人は筋肉質な体系に、鼻に絆創膏を貼っている少年が手を顎に当てながら、一人は怯えながら“例のもの”を見つめていた。
「機械…?なんですかこれは?」
「さぁ…速水が第一発見者なんだが…」
「お、俺に振らないでくださいよぅ〜」
「車田さん、監督が置いて行ったものかもしれませんよ?」
「監督がこんなもの持ち歩くか?」
「…ですよね」
あの監督が、こんなものを持ち歩くとは考えにくい。むしろ、彼には失礼だがどう見ても機械音痴。それに、常に持っているのはこのような変な機械ではなく、サッカーボールだろう。
「天馬、霧野。先にユニフォームに着替えたらどうだ?」
「そうですね。着替えてきます」
着替えの時でさえも、あの機械のことが頭から離れない。いやな予感というよりも、何か大きな転機をもたらすような、不思議な感じを天馬は受け取っていた。それは、霧野も同じであり。何度も首を傾げなら、あの機械を頭の中に思い浮かべる。
「天馬はどう思う?」
「…う〜ん、よく分らないですけど、放っておいても何とかなるんじゃないですか?」
「…今日は先に練習だな。数日後にまた、練習試合があるからな」
「そうですよね!今は試合だけを考えないと!」
天馬の輝かしい笑顔に霧野は小さな笑みをこぼした。
着替えをすぐに終わらせ、皆のところに戻ると、やはり彼らは丸くなって、あの機械を見つめていた。
時計に目を移すと、練習にはまだ少しだけ時間がある。
「あっ!円堂監督に聞けばいいじゃないですか!」
「それも問題なんだ。円堂監督どころか、音無先生でさえ学校に来ていないんだ」
「えっ…?じゃあ、鬼道コーチは?」
「コーチは帝国に用があるらしい」
そこに現れたのは、先程天馬たちと別れ、教室に戻っていた神童だった。急いで走ってきたのか、彼の息が少し上がっている。
「神童、監督と先生は?」
「いいや、俺も聞かれていない。円堂監督はまだしも、音無先生が何も言わないとは、考えにくい」
「風邪…じゃないんですか?」
「二人同時はないだろう」
天然と言ったらいいのか、天馬の率直な意見もあり得ない、だろう。円堂であれば、サッカーに関して真面目なのだから、休んだりするはずはないだろうし、音無は顧問なのだから、急な用事ではない限り、前日に神童たちに伝えるだろう。
「それより、どうして皆、集まっているんだ?」
「それ、さっき霧野と天馬にも話したが、この機械だ」
「……なんだ、これは?」
「「「俺たちが聞きたい」」」
「天馬ぁ〜キャプテン!遅くなりましたぁ〜!!!!!!」
「転ぶぞ、西園」
「信助!」
もう一人、小柄で青いバンダナを頭につけた西園信助が、手に教科書を持ちながら、走ってきた。その後ろには、ユニフォーム姿の剣城京介がゆっくりと歩いてきている。
剣城の忠告を聞き入れず、信助は走るのをやめない。しかし、ここはグランドではない、しかも床は清掃したばかりであり、走ってくれば止まるのには難しい。つまり、滑りやすいのだ。
「うわぁ!!」
「し、信助!」
スピードは止まらず、むしろ上がり続け、階段を転げ落ちるようにして滑り込むと、直接天馬や神童そしてチームの全員がいる輪の中へと飛び込んでいった。
その先には———あの怪しげな機械。
「わぁ!ぶ、ぶつかるぅ!」
信助の叫び声とともに、その場は眩しい光に包まれた。
そして———
彼らはその場から一人残らず姿を消した。
残ったのは、ただ沈黙が流れ続ける“時”と、あの怪しげな機械だった。