二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン/GO 時空を越えた出会い ( No.28 )
- 日時: 2011/12/03 17:37
- 名前: 桜花火◇16jxasov7 (ID: /HyWNmZ0)
- 参照: 理科、意味わかんねぇ……orz
4 最悪なテンカイ
〜10年後の世界〜
「あれ?天馬!信助!どこにいるの?」
天馬たちには、学校に遅れていくと伝えてあり、今日は一緒に登校していない。だから、一旦バッグを教室に置いて、部室に来て見たものの、天馬どころか、神童や霧野の姿さえもない。それに、円堂や音無、鬼道も朝早くからいるはずなのに、部室は誰一人としておらず、シーンと静まり返っていた。
「皆、どうしたんだろう?教室にもいなかったし、練習場にも……あと、10分でホームルームなのに…遅刻よ?」
「おう!葵、今日は遅かった…おい、天馬たちは?」
男勝りな口調の赤毛の先輩—水鳥と、ピンク色のカメラを所持し、辺りをキョロキョロしている茜がやってきた。
「それが、誰一人もいなくて…」
「シン様…どこ?」
「お前そればっかりだな…」
「だ、だって…」
「待て!泣くな!」
神童がいないことが分かると、茜は今にでも泣き出しそうな表情になっていく。水鳥も葵も慌てて慰めるが、改めてこの状況を確認しようと、心を落ち着かせた。
まず、この3人の中で、最初にここへついたのは、天馬と仲がいい葵であるが、休みであれば、管理人である秋から何か伝えてくるはずだ。それに、天馬がいないからと言って、信助も、それに神童までも休みとなると、それはそれで奇妙な話になる。
「全員、風邪はありえないもんな…」
「…はい、天馬、昨日まで元気でしたよ?」
「シン様ぁ…」
う〜ん、と腕を組んで悩んでいると、三人の視界には何か怪しげなものが写りこんだ。
「あれ、なんだ?」
「見るからにして、ものすごく怪しいですね」
「…何かの機械?」
「お前ら、どうしてそこで立ってるんだ?」
「あっ、監督!遅いじゃないですか!」
「悪い…今日は寝坊して…」
ハハッ、と苦笑いをこぼしたのは、オレンジ色のバンダナに、少し立った髪形をした、円堂守。雷門中の監督だった。手にはおなじみのサッカーボールを持っている。
「寝坊って…子供ですか…」
「いや、その、昨日いろいろあってな…」
妻である夏未の新作の(殺人)料理を食べて、腹を壊したとはとても言えない。もちろん、彼女自身にも悟られぬように、我慢して全てたいらげた。その結果、昨晩は調子が悪く、一向に眠れなくなってしまい、夜更かしをしてしまったのだ。それが理由で遅刻など、ありえない……。
「……にしても、静かだな」
「天馬たちがいないんです。もうすぐ、授業始まるのに…」
「フィールドにもいなかったな。もう着替えてんじゃないか、と思ったけど」
ホームルームまでのこり5分をきっている。本当はもう教室に向かわなければ、遅れてしまうが、今は天馬たちが心配だ。何も言わずに、しかも全員消えてしまったのだ、不安にならない方がおかしい。
「シン様ぁ〜探す!」
「教室にもいないんだ、落ち着け茜!」
とうとう意地になってしまった茜。円堂も状況を飲み込めず、頭を無造作に掻くだけだった。そこにもう一人、赤い眼鏡をかけ、ウェーブのかかった女性が慌てて走ってきた。顧問の音無春奈だ。
「何やってるの?もうそろそろ授業よ?早くしないと遅れるわよ」
「先生、天馬たちがいないんです」
「えぇ、そうよ。神童くんも霧野くんも授業に来ないもの」
「違うんです!部室にも、フィールドにもいないんです!消えたんです!」
「えっ?消えた?」
円堂に説明を求めようと、音無は視線を移したが、彼も肩をすくめて、理由が分からないらしい。葵たちはとても深刻な様子で、落ち込んでいるかのようにも見える。
「…分かったわ。あとは私と円堂監督に任せて、先に授業に行きなさい。遅刻になったら、怒られるわよ」
「はい…それと、もう一ついいですか?」
少し上がっていた息を整えると、葵の方に向き直った。
「どうしたの?」
「これなんですけど…」
葵が指差したのは、機械のようなもの。部室の大きな丸いテーブルに一つだけ、寂しげにおかれている。チーム内の誰かが置いたのだろうか?だが、彼らがこんなものを持ち歩くのは考えにくい。兄である鬼道有人は、昨晩から帝国に戻っているし、自分が持ってきたものではない。円堂なのだろか。
「円堂監督?」
「俺は知らない。今、ここに来たばかりだし…」
昨日はきちんと部室の鍵を閉めたし、確認もした。鍵を持っているのは、円堂とキャプテンである神童、それに自分だけ。誰かが侵入したとも考えにくい。
すると、円堂がそれを確認するように、小さくしゃがみこんで、ジッと眺め始めた。やはり、見覚えはないらしい。
「どうします…?」
「シン様、休むなんてありえない……シン様…」
「だから、落ち着けって…」
「まぁ、とにかく、少ししたら天馬たちも戻ってくるだろ!」
立ち上がって、本当に無意識に円堂はその機械を強くバンバンと叩いてしまった。その直後、ウィンと何かが起動するような音が部屋に響き渡った。
「え、円堂監督……状況から考えてヤバくないですか…?」
「……俺は知らないぞ…?」
次第に音は大きくなっていく、ガンガンと何かにぶつかるような音。そして、室内であるはずなのに、風が舞い込んできた。
「キャ—————!」
少女の叫び声を最後に、5人は巨大な旋風に包み込まれ、消え去った