二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アスキーアート物語(AA) ( No.3 )
日時: 2011/11/23 23:02
名前: 無人 (ID: 3Mpht8EV)

ふと目を覚ました。



別に眠っていたわけじゃない。



首だけを動かし周りを見渡すが最後に見た空とは景色が大きく変わっており自分がベッドの上に寝ているのが分かった。



「助かったのか……?」



不思議なことに空腹も感じない。

ギジェルはベッドから跳ね起き目の前にあったドアに手をかけた。







ドアを開けたとき彼はすぐ横にいる番兵らしき人物に気がついた。

「おう! 無事起きたか!」

番兵らしき人物は茶色の毛に覆われてフサギコ種であることが分かった。


そして彼を見るないや気さくに話しかけてきた。

「……ここは何処だ?」



「まぁ、とりあえず俺の後に来てくれ話はそれからだ。」

そういうないや彼は何処もなく走り去りギジェルがそれを追った。

















「連れて来たぜ!」

フサギコ種の彼が案内したのは王の間だった。

「よし、ご苦労さん。」



椅子に座っている王はとても若く同じギコ種、そしてギジェルとそこまで年の差を感じさせなかった。


そして王の間には護衛がフサギコの彼を含め3人しかいなかった。



大丈夫なのか。



彼はそれが不安でならなかった。


「まぁくつろいでくれ!特に何もないから!」



王が手振りで座るように表現しながらギジェルに伝えた。

「は…はぁ…」



あまりの王の軽さに戸惑いを隠せない彼。

だが護衛の3人はそれが当たり前だと思わせる空気を漂わせていた。


その空気に押されのんびりと椅子に腰掛けた。


「よし、では話を始めよう。 ……何か聞きたい事はあるか?」

満足にうなずくと急に真剣な表情に変わった。



「あぁ……ここは何処なんだ? そして何故俺はここにいる?」



「一つずつ説明しよう、まずはここが何処だか…… ここはギコシン王国。海岸近くにある少し小さめの国だ。」

王の回答にギジェルは真剣に話を聞く。

「そしてあんたが何故ここにいるか…… それは簡単なことだ、俺らが行軍中に倒れているあんたを発見したんだ。まぁ水分が足りないせいか丸4日は意識を失っていた。 ……相当まずい状態だった。」


「丸4日もか!?」

「ああ、そうだ。」


焦りを隠せずギジェルが尋ねた。



「……かたじけない、感謝します。」

「なぁに! 謙虚にならなくていいぜ! 普通倒れている人を見ると助け出さずにはいられないからな!」



王は笑いながら言葉を返した。


「……ではこちらから提案だ。 ……どうだ俺に仕えてみないか? お前、砂漠からその重そうなハンマー担いで無事に出れたな。」



王の目が鋭く輝いた。


「……! 何故分かる!?」

「まずあんたの服だ、そこまでの軽装は砂漠対策以外ありえないだろう。 ……そして靴の裏。かなり磨り減っているじゃねえか、そして砂だらけだ。あそこの砂漠は異常なほどに広いからな。 ……そして体の状態だ。傷が何箇所かあり顔が干からびていたぜ。 お前、水を求めていたな。」


傷は這って進んだときにできた傷なんだが。

その言葉をギジェルは押さえた。

「まぁ、正直あそこの軍はとても強い。 特に将がな。 にしても驚いたぜ本当に生きて渡るとは……」



そんな事はどうでもよかった。

ギジェルは仕える主を決めるとき必ずある質問をした。

その質問をしようと決心したとき彼は顔を上げた。



「……国を統一してどうする?」



ギジェルの質問に王は少し考え込んだ。



大抵の奴は民の為や自分の思うどうりと答えてきた。

だがそんなのは簡単に成せないと彼はよく知っていて、ことごとく仕官を断った。

どう答える


自分のためか

他の人のためか


ギジェルは鋭い目を細くし王を見据えた。



「………そんなもん考えたことねぇよ。 俺は気ままにやって統一したらまとめたい奴にまとめさせるよ。 そして俺はのんびり国の中で賑やかに酒を飲んでいる奴を見ながら余生でも過ごすかな……」











こいつ。

ギジェルは目を見開いた。

自分が椅子から立っていることにも気がついてなかった。



ただの馬鹿なのか。

めんどくさがり屋なのか。

それとも無能なのか。






……稀に見る英雄か。







だがギジェルはその夢をおかしいとは思わなかった。


むしろ中にある何かを感じ取った。


「まっ、嫌ならいいぜ! 誘うのに失敗したのは慣れているからな!」

そう笑顔で言い放ち王は外へ向かい始めた。



呆然と立ち尽くしているギジェルの横を通り過ぎ、外へ出ようとしたとき



「……待ってくれ。 仕官してもいいか?」


ギジェルの質問に背を向けながら王はゆっくりと口を開いた。


「……ギルだ……宜しく頼む。」

「……あぁ、こちらこそ。」










何かが変われた。



彼はなんとなくだが確信が持てた。