二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アスキーアート物語(AA)感想などを希望 ( No.6 )
日時: 2011/12/04 09:51
名前: 無人 (ID: 3Mpht8EV)

数日が経ちいまだ交戦中のネルトリア王国に使者が届いた。




「……なるほどいいだろう、だが間に合うのか? わが軍はもはやこれ以上耐えれぬ。」

ネルトリアの王が手紙を読み使者に怪訝そうな表情で聞く。

「それについては心配及びません。 ではまた後ほど。」

使者が短く言い放つとその場を去った。



















「……そうか。ご苦労だった、皆の者! 聞いてのとおりだ! 早速準備しろ!」


ギル達はネルトリア王国から少し離れた山に軍を潜めていた。

「ギジェル、お前はフサリオの副将を担当してくれ、あの会議のときに賭けをしていた奴だ。」

「はい……ってえ? ちょっと待ってください! 自分はまだ一度も戦ったことがありませんよ! それなのに副将って……責任重過ぎますよ!」

一瞬目が点と化したギジェルが否定する。

「いいや、俺はあの砂漠を抜けれたお前ならやり切れると信じてる。あと俺に敬語はやめろ。そういうの苦手なんだ。」

ギジェルの不安をまったく気にせずにギルが会話を続ける。

「とにかく、俺の言うことに従え。戦中でもだ。」

「はい……じゃ無かったな。分かった。」

覚悟を決めたのかギジェルの目が変わった。
その目を見ながら満足そうにギルは頷いた。

「よし。まずフサリオのところへ行け。その後奇襲をかける、いいか隊列は乱すな。あと魔法部隊には気をつけろ。以上だ」


そう言うとギルは再び軍をまとめ始めた。





ギジェルが少し山を下った先にはフサリオが軍をまとめていた。

「よぅ! お前があの時の奴だな! 俺はフサリオ、年は17だ!お前は?」

フサリオがギジェルの姿を確認しうれしそうに寄ってきて自己紹介を始めた。

「俺はギジェル、17歳だ。宜しく頼む。」

「おぉ、俺と同い年か! まぁこちらこそ宜しく頼むぜ!」

そういうないや、早速地図をフサリオが地図を広げた。

「いいか、俺らは軍の中で山のふもとにいる。つまり俺らは真っ先にフンルの軍に奇襲を仕掛けるんだ。」

地図にペンを書き加え説明を始める。

「だが肝心なのは、俺らは最初は「極力戦わない」んだ。分かるか。」

フサリオがギジェルを見る。
ギジェルは頷きながら地図を見始める。

「いいか、ここの地形は山に挟まれた所に森があってそこで両軍が激突を繰り広げている。俺らの最初の役目は「撹乱」だ。俺らは速攻で敵の中に突撃を行い急いで向こう側の山に登る。そして合図があったら再び突撃を行いギルと連携して敵をなぎ倒す。」

「つまり挟撃がメインだな。」

「そのとおり!」

フサリオがうれしそうに手を叩く。
ギジェルも満足そうに頷く。

「にしてもギルは意外と考えるな。」

地図を眺めながらギジェルが呟いた。

「いやこれは別のやつが考えた策だよ、ギルはただ先を読む目が優れているだけさ。」

別の奴。

そういえばまだ護衛が一人いたな。

ぼんやり頭の中で考え込んだ。


「……じゃあそろそろ準備しな。 無事に帰れたら一杯飲み交わそうな!」

ああ、そうギジェルは言葉を発した。

全軍の準備が整った。



だが軍はまだ動かなかった。

だがその方が少し安心していた。
まだ緊張は取れていないから……
初の戦であり副将を務めるから……

















よし全軍整ったな。

心の中でギルは呟いた。

だがまだだ。

このタイミングでは敵は混乱しない。

燃え盛る森の中激突しあう両軍をギルは高いところから見下ろしていた。

やはりフンル軍が押しに押している。



だがまだだ。

この状況で突撃を行ったら損害が出る。

それは極力避けたいことだった。

ギルは静かに戦の成り行きを見守っていた。

ネルトリア軍は半滅した状態で軍が城にも近かった。

必死に抵抗を続けるネルトリア軍に対しフンル軍の動きが少し鈍くなった。



今だ。

そう思ったとき彼の体は勝手に動いており高い音が出るように作られた銃を上に発砲していた。



そのときフサリオの軍がものすごい速さで動き始めた。

















「よし、突撃だ!」

フサリオがそう叫んだとき軍が動き始めた。

その瞬間兵が駆け始めた。

ギジェルもハンマーを担いでいるにも関わらずものすごい速さで走り出し兵との間隔を広げていった。

「よぅし! 挨拶代わりに軽く牽制しておけ!」

そういった瞬間フサギコがアサルトライフルと刀を取り出しフンル軍に突っ込んだ。

突っ込み始めた瞬間ギジェルの前に火の海が広がった。

敵の姿を確認しギジェルは目の前にいた騎馬に無意識にハンマーを振りかぶっていた。

手ごたえがあった。

馬と兵が宙を舞い地面に激突する。

だがギジェルはそんなものには目をくれず山へ駆け上った。


















「ほう! やるじゃないかあいつら!」

向かいの山にフサリオとギジェルの姿を確認し感嘆の声を漏らした。

「よしうまくいっている!」

森には混乱気味のフンル軍をネルトリア軍が押し始めていた。

「ならば俺も王としての力を見せんとな! 全軍突撃だ!」

叫んだ、そして銃を上空に発砲した。

















「「……もう突撃かよ。」」

疲れた表情を丸出しにしながらフサリオとギジェルが呟いた。



「俺らのことも考えろよ……突撃だ!」

そう言い再び突っ込んだ。



そこでギルと遭遇し敵を殲滅し始めた。

ギルの通る所で次々と敵が倒れていき道ができ始めていた。

と不意にギルの後ろから敵兵が槍を投げつけようとした。

が、動きが止まり倒れた。


「油断するな、ギル!」

フサリオの銃口から煙が立ち上っていた。


敵は最早壊滅状態に陥り、次々と兵が引き始めていた。



「よし頃合だ! 引き上げろ!」

ギルも深追いをせず軍を引き上げた。















山頂に軍がまとめられていた。

「よし、お疲れ! 皆疲れた体を癒すように以上!」

ギルはそれだけ言い放ち撤退の準備を始めた。




彼のバンダナは相変わらず赤に染まったままだった。




一体何人斬ったのか------




彼の背中を見ながらギジェルは一瞬だけ考えた。