二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 土方十四郎の姉で御座います。【銀魂】 オリキャラ募集! ( No.137 )
- 日時: 2012/01/16 17:12
- 名前: 如月 ◆eZsQmZilro (ID: w0.JbTZT)
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土方十四郎の姉で御座います。【紅篇】
第七訓「病院を好きな人はいない」
——〝見て。あの女の子と男の子。妾の子ですって〟
——〝そう、だから皆に避けられてるのね。可哀想に。〟
——〝黙れ!私達は可哀想じゃない!私はともかくまだ幼いしろーの陰口言うな!〟
——〝おねえちゃん。もう俺だいじょうぶだから……〟
——〝しろー。私が守ってあげるからしろーは自由に遊んでいたらいいんだよ〟
————悲しい思いをするのは、妾の子という事実に縛られるのは私だけで十分だから。
其処で、夢は途切れた。
朔は胸の痛みに耐えながら辺りを見渡す。
夜のようだが、よく見える何処までも白い部屋。此処は病院のようだ。
「(そうだ、私胸を撃たれて……)」
目を伏せてそのときの状況を思い出す。
朔を撃ったのは、睦月凛。
朔は自嘲気味に笑って腕に刺さっている点滴と白い着物を剥ぎ取った。
そして直ぐ側に置いてある鞄の中から持っていた着物に着替え直す。
「凛……」
金色の狼を思い出して、目を瞑る。
目尻から冷たい何かが零れ落ちるのを感じて、泣くまいと唇を噛んだ。
つつ、と唇の端から血が出てくる。
——私は、泣いてはいけないのだ。
朔は近くに置いてあった替えの包帯を手に持ち、痛む胸を押さえながら病室の窓から飛び降りた。
「…、っつ、」
血がどくどくと溢れ出すのを感じる。胸が熱い。
けれど朔は病院から抜け出すために走る。
——私の過去に巻き込むわけには、いかない。
——皆何も知らずにいてくれたら、いい。
走った先にはフードを被った凛がいた。
どこか寂しげに朔を見つめながら口を開く。
「……来ると思ったぞ。朔ちゃん……」
「…っ、……凛、」
「貴様には死んでもらわなければならん。」
「……凛、」
「私の名を呼ぶな!……さっさと死ね!」
凛は、朔の胸に刀を突き立てる。
そのまま凛の手に力がこめられるのを見て、朔は思う。
——やっぱり、私は生きててはいけなかったのだ。
朔は目をぎゅっと結んだ。
死ぬと分かったら、なぜか頭に昔のことが流れ込んできた。
泣かないと誓ったはずなのに、涙がでてくる。
——全ての始まりは、朔が10歳の頃だった。
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