二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   土方十四郎の姉で御座います。【銀魂】 オリキャラ募集! ( No.187 )
日時: 2012/02/17 20:08
名前: 如月 ◆eZsQmZilro (ID: w0.JbTZT)

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 ごめんねごめんね
 許してくれないかもしれないけど
 これだけは言っておく

 ——私はしろーが大好きだ








        土方十四郎の姉で御座います【紅篇】
       第十一訓「カタストロフィが幕を開ける」










「戦争に行くってどういうことだよ!」

 暴れる十四郎を、近藤と沖田が抑えた。
朔は道場の畳の上で正座をして十四郎を真っ直ぐに見据える。
先程戦争に行くと話した。
十四郎と離れるのは耐え難いことだが、それが最良の選択だと朔は思っている。
 そこでやっと朔は口を開き、言葉を紡いだ。


「そのままの意味だろう?」
「なッ!テメー、本気で言ってんのかよ!」
「私は何時でも本気だよ、しろー」


 十四郎はその言葉に絶望を見たような表情を見せた。
その表情に朔は罪悪感に襲われながらも表情を崩さず十四郎を睨む様に見つめる。
戸惑った様子の近藤は、おずおずと朔に質問をした。


「……如何して急に戦争に行くと?」


其の言葉に朔は押し黙った。
——言えない、本当の事なんて。
言えば十四郎たちは責任を感じてしまうし、何より悲しむ顔など見たくない、と朔は思う。

——これは、私の選んだ道なのだ。巻き込むわけにはいかない。
——私は戦いにいくのではない。護りに行くのだ。大切な家族を。


「どうもこうもないだろう。ただ幕府からの要請を承諾しただけのこと。それ以上の何ものでもない」
「テメッ……!……もういい!テメーなんか姉貴じゃねェ!何処にでも行けよ!」
「おいトシッ!なんて事を!」


十四郎の言葉に、胸が痛む。

ずきんずきんと痛む心臓を押さえて朔は席を立った。
もう話し合いは終わりだというように皆もそれぞれ部屋を出て行く。

しかし、沖田だけは朔の着物のすそをきゅっと掴んだ。
身長差のせいで上目使いな沖田を、朔はちらりと見ると離すように促した。


「……本当は行きたくないんでしょう」
「何のことだろうか。私は国のためならば是非犠牲になるよ」
「そんな事、思ってないんでしょう」


 沖田の力強い目に、圧倒させる。
ああ、コイツはこんな目をできるのか。何時も毒を吐くその目とは比べ物にならない程の、真剣で強い目。

——いつも、コイツは核心をつく。そこはミツバとよく似ているな。


「思っているよ。けれど此れだけは行っておく。お前は自分を犠牲にするんじゃないよ」
「……姐上は優しい人だ。裏切るわけがねえんです。本当のこと言ってください。」
「言ってどうなる?お前が幕府を潰してくれるのか?それとも戦争を止めてくれる?何が出来るんだよ、なあ!」


 一気に沖田を捲くし立てて、息を切らす。
どうして、決心を鈍らせるんだ。
ただ、歯を食いしばって沖田の言葉を待つ。


「確かに何も出来ねーけど、たまには頼ってくれたっていいじゃねえですかィ!姐上はいっつもそうだ!俺たちのこといつも助けて、けど俺たちには頼ってくれねえ!言って楽になることも……!」
「ないよ。言っただけじゃ、楽になどなれないよ」
「……!」
「私は一生お前たちを背負っていくんだ。お前たちの悲しみも苦しみも。お前たちの不幸など私がまるごと背負ってやると決めたんだ。お前たちを護ってやると決めたんだ。そのためなら私は私をやめてやる」


 沖田はぐっと拳を握り締めて、それでもいいのかと問うような目で朔を見た。
——いいんだよ、そーちゃん。そうやって私は生きてきた。お前たちの幸せが私の幸せに繋がる。


「お前たちのためなら私は夜叉にでも獣にでもなれるんだよ」
「……あね、うえ」


沖田の目は、湿っていた。
はらりはらりと、桜の花びらのように涙は散っていく。
それを見て、思う。


私はコイツらの笑顔を護るのだ。
それが、私の願い。その使命が、私を縛る、鎖。





長くなってしまった…!



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