二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   土方十四郎の姉で御座います。【銀魂】 オリキャラ募集! ( No.213 )
日時: 2012/03/24 15:09
名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)

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 染みこむ赤に、
 打ちのめされて。










       土方十四郎の姉で御座います【紅篇】
        第十七訓「水晶体に視る青」
          ※グロテスク注意









 金属音と発砲音の2つが灰色の空で飽和して消え行く。
大量の屍が異臭を発しながら無造作に置かれている光景から目を逸らして、ただ刀を振るい続ける。
纏わり着く返り血にはまだ慣れないが、先程よりは随分マシになったことだろう。

 私は無心のまま、天人を殺し続ける。もう何も感じなくなった。
不思議だ。先程まで充分すぎるほど〝死〟を感じていたのに、もう何も感じない。所詮人間などそんなものだと自嘲的に笑う。

落ち着いてかかれば何も恐くはない。
後ろから斬りつけようとする天人を振り返りざまに斬りつけて、真正面の敵の銃は刀で弾き、ひるんだ隙を狙って斬る。
簡単なこと。無心になれば、感情をなくせば、恐いことなど無い。



だって、私は修羅なのだ。



「ぐっ、ぁ…がはっ」
 天人が血を吐きながら崩れ落ちた。
それを冷たい目で見下ろす。この天人は命乞いをした。
「俺には妻子がいるんだ」と。ふざけるな。私にも弟がいた。
けれど引き離された。それはお前らが戦争を始めたから——否、お前らが地球に来たからだろう。
だから戦争は始まったのだ。全てはお前らのせい。



「死ねェエエエェエエェ!」



 私は天人を睨みつけ、叫び狂いながら刀を振るった。
肉片が飛び散って、血が私に降り注ぐ。


 気づけば、血の海に立っていた。
いつのまにか私は全ての天人を殺していたらしい。
同志たちの呼ぶ声が聞こえる。迷いもせず屍を踏みつけながらその場を去った。








  ***







 その日は疲れきったせいか早く寝付いた。
皆で雑魚寝をするせいで鼾や歯軋りがよく聞こえる。
けれど私はすぐに夢の中へ誘われた。


私は暗闇の中にいた。
何処までも続く闇に不安を感じて、ただ歩いた。
出口を探して、歩いた。


そうすると、人影が見えてきて、嬉しくなって肩を叩けば。
振り向いた顔は血に塗れていた。



「ひっ」



その顔は今日殺した天人だった。
気づけば周りには私が殺した天人が所狭しと倒れていた。
「殺してやる」「お前のせいで死んじまった」「悪魔だ」「悪魔」そんな声が聞こえてくる。



「やめて」
「悪魔」
「やめて…」
「悪魔」

「あああああ゛!やめてェエエェエエェ!」



ごめんなさい、と何度も呟いた。
狂ったように何度も。


そんなとき、光が差し込んで来た。
次々と天人が消滅していく。



「朔」



私の名を呼ぶ人は、誰?

うっすらと視界が明るくなる。
光が差し込んで、目の前には銀時がいた。



「ずっと謝ってたぞオメー」
「……っ」
「大丈夫なのか?……まあ無理もねえわな。いくら無心だったとはいえ天人何人も殺しちまったからな」



銀時がふうとため息をついた。
私は咄嗟に銀時へ抱きつく。涙が頼りなく目から零れ落ちた。



「え、どうしたの朔ちゃん?え、ええ?びっくりだわ」
「……すまない。」
「いや、いいけど」



銀時はおずおずと背中に手を回した。
朔の目からまた一滴涙が落ちた。




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