二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   土方十四郎の姉で御座います。【銀魂】 オリキャラ募集! ( No.219 )
日時: 2012/03/25 16:22
名前: 如月 ◆eZsQmZilro (ID: w0.JbTZT)
参照: ヤベェ主旨から外れたwwww

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 恋愛とか正直どうでもいい
 そう思ってたしこれからもそうだと思う











       土方十四郎の姉で御座います【紅篇】
         第十九訓「透明な花」










「遥、来たぞ。今日は団子をかっさらってきた」
 出会ったあの日から暇さえあれば遥とは話している。気さくで聞き上手な遥とともに過ごすのはもう当たり前のことになっていた。
そう、まるで林檎が木から落ちることくらい、当たり前。それほど楽しかったのだ。

けれど彼と話すたびに頬が火照って動悸がし始める。最初こそ何かと考えたが、それが恋だということは、とっくに知っていた。
しかしそれを認めるのはいやだった。私にはいつだって弟が一番でなければならなかった。なのに。



「また?銀時が悲しむね。俺の団子がないって」
「はは、目に浮かぶな」



 彼の存在は、日に日に大きくなっていった。
団子を頬張る遥が私のほうを見てにっこりと笑う。
やめて、ほしい。そんな風に、微笑まないでくれ。



「ねえ朔。今日一緒に散歩に行かない?紫苑を見つけたんだ」
「紫苑?何だそれは」
「そう。紫の花だよ。知らないの?」



 私のような男女は花なんか気にしないのでね!と皮肉めいた口調で反論すれば、遥は渇いた声をあげて笑う。
遥が言うには、その紫苑がたくさん咲いている場所を見つけたらしい。
ちなみに、と遥が真剣な顔で紫苑の標本を手にとった。



「花言葉は、君を忘れず」
「——は、」



なぜか、弟の姿が頭に浮かんだ。泣き叫んだ弟を。「必ず帰って来い」と涙でぐちゃぐちゃの顔で笑った弟の顔を。

夏から秋にかけて、凛と背筋のばして咲く、力強い紫色の花。けれど本当はほんのりと優しい桃色なのだ。
弟だってそうだ。ぜんぶぜんぶ醜い仕事は一人で抱え込んで、鬼の仮面をつけて、強がって。本当は、優しいのに。

ちなみに紫苑の花の別名は鬼の醜草(オニノシコグサ)というらしい。もちろん由来はあるらしいが、名前だけ聞けば弟にぴったりだと思った。



「——朔?」
「……え。ああ…。すまない」
「いいけど、早く行こうよ」



無愛想で、生意気で。けれど素敵な、自慢の弟。
十四郎がいつか自分の殻をやぶる日が来るといい。私は近くで見ることはできないけど、いつかそうなると信じている。

だってもう十四郎には仲間がいる。
近藤さん、そーちゃん。それに(あくまで推測だが)弟が恋焦がれているらしい、ミツバ。



「(ふふ、お姉ちゃんは勘がいいものなんだよ)」



 ずっと十四郎が一番だと胸をはっていえるよ。


 けれど許してくれるか、十四郎。
私がこの人のことを好き——かもしれないということを。
まだ認めたくはないが、いつか認める日が来るだろう。



「朔」
〝姉上〟



十四郎と遥の声が、重なって聞こえた。






————ような気がした。




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