二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 土方十四郎の姉で御座います。【銀魂】 オリキャラ募集中! ( No.7 )
- 日時: 2012/03/25 10:32
- 名前: 如月 ◆eZsQmZilro (ID: w0.JbTZT)
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「此処が、江戸」
凛とした声が、江戸の灰色の空に消えた。
茶色の屋根に座る女性は、ターミナルを見ながらくすりと笑う。
「ふふ、攘夷戦争に参加していた私がまさか天人様のいる江戸にくるとは思わなかったわ。——弟は、元気かしら」
女性は漆黒色の髪を棚引かせて此れから向かう場所に思いを馳せた。
思い出すのは、私と同じ黒色の男。
——会うのはあの子が武州から出て行ったときかしら。
女性は、軽快に屋根を飛び降りた。
土方十四郎の姉で御座います。
第一訓「久しぶりの再会って緊張する」
山崎退は、正にどん底に居る気分だった。
今日はきっと占い最下位だったんだ——そう、思うくらいには。
理由はとても単純である。それは鬼の副長と呼ばれる土方十四郎にあった。
彼、土方十四郎は真選組の頭脳と呼ばれる。
それは勿論戦闘での回転の速さであったり、攘夷浪士たちの密会現場に乗り込む計画などは彼がしていたり——そんなところに理由がある。
そんな彼からひとつ、お願いがあった。否、お願いではない。
命令としか思えない言い方で彼は山崎に絶望的な任務を言い渡した。
さて、前置きが長くなったが簡単に言うと、数時間前の土方の言葉に理由はある。
「おい、山崎。書類の処理が追いつかねえんだ。手伝え。」
——……この日、山崎は非番であった。つい前日まで長期任務に行っていたため休暇をもらったのだ。だと、いうのに!
「全然終わらないんだけど!」
もう、彼是二時間以上たっている。だというのに書類はまだ3分の1程度しか終わっていない。
此れでは折角の非番が丸つぶれである。
山崎はひとつ、溜息をついた。
沖田に頼んで、呪いの儀式に参加させて貰おうかな
「すみませーん」
「!」
と、其処へ女性の声。
屯所の門の方から聞こえてくる。——何の用事だ?
最近女中を募集し始めたから其れだろうか。
いずれにしても山崎が出なければいけないことは明白だった。
何せ今は殆どの隊士は見回りや攘夷浪士の張り込みに借り出されている。
どうせ局長はお妙さん——局長の好いている人だ——の所だろうし隊長なんて論外だ。今頃見回りと称して何処かでサボっているだろう。
副長は今書類整理で忙しい。
「よいしょっ、と……」
山崎は重たい腰をゆっくりと上げて門まで駆け寄った。
「すみません。どなたかいらっしゃらないでしょうか?」
「はーい、すみません。今開けますー」
二度目の女性の声がして、急いで門を開けようと手をかける。
木の香りと少し鉄の匂いの舞う門を開けると、其処には大和撫子がいた。
「あら良かった、いらっしゃったんですね」
「あ、はい……すみません遅くなりまして。」
「ふふ、いいんですよ。皆さん忙しいのでしょう?ところで、私は……」
「おい山崎、書類終わったのか?」
黒髪黒目な日本美人の女性はふんわり笑って口を開いた。
きっと自己紹介でもしようと思ったのだろう。
けれど、副長の声が聞こえて女性は口を噤んだ。
驚いたような顔をして副長を見ている。
——どうされたんですか?そう言おうと口を開く。
「……姉貴……!」
——え?
山崎は副長の言葉を理解することが出来なかった。
姉貴だと?しかし女性と副長は似ても似つかない。
共通点の言えば二人とも顔が整っているという点だけである。
女性は副長の驚いた顔を見て、やんわりと微笑んだ。
——そして、
「姉上と呼べって言ってるだろォがァァアアァ!」
ドカーン!
女性は副長を投げ飛ばした。
副長は「ふべらァっ」と奇声を発しながらいとも容易く吹き飛ばされていく。
——そんな馬鹿な。
彼は真選組副長だというのに。
山崎は目を疑った。
しかし屯所の屋根に減り込んだ副長が其れが現実だと
物語っていた——。
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