二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼   ———刹那の契り ※イラスト描きます ( No.125 )
日時: 2012/02/24 16:43
名前: 亜鶴 (ID: PxM9hGKP)

第七話   後ろから感じる殺気

夜————

琴音は男装して、家を出た。左腰には幸成から譲り受けた刀、夢花刀があった。手には物を包んだ風呂敷を持っていた。これをある旅館に届けるように幸成に頼まれた。しかも極秘で届ける。それ程…大切な物が包まれて、いるのだ。かなり重要な任務。

((どうして…私なんかに頼んだんだろう?))不思議に思いながら、歩く速さを早めた。


大分歩き、ある店の角で曲がり、狭い路地に入った。


襟元からおりたたんだ紙を取り出す。広げる。紙に書かれていたのは、ここら辺を表わした手書きの地図だ。
「えっと…笹紀屋ってここら辺にあるはず…」と地図と場所を照らし合わせ、旅館を探す。道が複雑で辺りは真っ暗、手に持つ提灯の一筋の光だけを頼りにして、道を歩いていた。今にも迷いそう、いやもう既に迷い気味…。

「一人じゃ、心細いな…」ため息を漏らしながら、暗い夜道を男装した少女は歩く。


「貴様、橘だな?」といきなり後ろから、男の声がした。その声を背に浴びると背がプルプル震え出す。琴音はびっくりして、((橘…私を呼んでいる?))と思い、恐る恐る後ろを振り向いた。それと嫌な殺気のようなものが感じられる。

後ろを振り向くとそこには…見知らぬ男がいた。

「貴方、誰!?」と琴音は警戒して、たずねる。

(更新再開)

「俺を忘れ忘れたというのか、幸成。」

男の言葉は琴音を戸惑いさせる。
「父様を知ってるんですか!?」

「父様?そうか、幸成の娘か?」と悟られる。琴音は親指で刀を鞘からひいていた。戦う準備をする。

男はふんっと鼻で笑い、「止せ、俺は戦う気などない。その冊子をよこせ。」
琴音の持っていた風呂敷を指差す。これが男の目的だ。
((どうして中身が分かるの!?私は知らされてないのに…この人何者なの?))

「俺が何者かって?」

((は!?私の心を読んでる!?))不思議に思った。
「そんなに知りたいのなら教えてやる…俺は風間千景だ」

「あら!ご丁寧に教えて下さって、ありがとうございます。でも…名乗っても…」

『貴方には渡せませんっ!!これは大事な物です。貴方みたいな知らない人なんかに渡さないわよ!』と言い張る。結構強気で言ってやった。そして鞘から刀を抜いて、構えた。


「ほぉ、女のくせによく吠えるなぁ。」

「そりゃあどうも」
((ああ〜ムカつく!女のくせにって言う言葉一番嫌いな言葉なのにっ!!))ニコニコ笑いながら、心の中ではこんなことを言っていた。

「よく吠える女も好きだぞ?」

「はいっ///!?」

「照れているのか」

「照れていませんよ!!」

 「さて、雑談はやめて本題に入る。今なら傷をつけんが、どうする?」

「いえ、簡単に渡す訳にはいきませんからっ!」
「分かった。力付くで奪ってやる。」と言い、風間という男も鞘から刀を抜いた。そして斬りかかってきた。すごい力だった。思いっきり、踏ん張って、刀をそれで抑える。

「ヤァ!」と琴音もすごい力を入れて、弾き飛ばした。風間は少し驚いていた。
((この女…面白い、あの田舎侍の連中よりも、やり甲斐があるな。それに幸成の娘ということは、女鬼か…。))
  

((驚いているすきに…!))琴音は風間の後ろに回り込んで、峰うちしようとした。まだ人を斬ることだけは、本人には無理だった。たとえ…悪い人でも琴音は優しいから。峰うちしたら、一目さに逃げるつもりだ。

(更新再開)


琴音の峰は風間との距離…30㌢程まで迫っていった。

((よし…、これで…))琴音はニヤリ笑い、風間の体に峰が当たるのを見届ける。
すると
「隙がある」風間もニヤっと笑って、霧のように姿を消した。峰が当たった感触がない。琴音は戸惑って、警戒した。辺りをキョロキョロと見回す。でも姿が確認できない。
「どこにいった!?」

「ここにいる。」いきなり耳元に声を当てられた。その声は風間の声…。 

びっくりして、振り返るが同時に痛みが走る。



(更新再開)
自分がしようとしていたことを風間にされた。風間は最初から琴音の行動を見計らっていた。それでこの瞬間を待っていった。

琴音は痛みに耐えられず、地面にひざをついた。でもその姿勢にも耐えられず、倒れてしまった。
「うっ…」苦しみながら、必死に顔をあげる。次第に目は霞んで、風間の姿がぼやける。彼がどんな表情をして、自分を見ているのかすらも分からない。



「所詮は女か…」とつぶやいた。声だけははっきり聞こえる。

「くっそぉぉー!」琴音は高い声を無理に上げ、叫んだ。拳を握り、歯を食い縛った。悔しかった。ただそれだけ。

そのまま…琴音は気を失い、横顔を地面につけた。頬には涙が伝わっていた。


——————負けた…今分かった…。
 私は弱い…

 何が剣が愛してるだ…ただ威張ってただけじゃないか。
 弱いっ!!弱い…弱いっ!!

 記憶喪失の私の心はからっぽ、だから剣で心を埋めてきた…

でも駄目じゃないか。結局…


剣なんてくそくらぇ!








           続く…

   

                 






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