二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 ———刹那の契り ※イラスト描きます ( No.241 )
- 日時: 2012/08/12 15:07
- 名前: 亜鶴 (ID: 1LZEPC8Z)
第十七話 二つの条件 (琴音視点)
「皆さん、ご迷惑お掛けして申し訳ありませんでしたぁっ!!」
新選組の幹部らと千鶴に頭を下げた。
心配をかけたのと感謝を印したお辞儀だった。
「琴音、元気になってよかったな!」
平助が言ってくれた。彼はとても優しい…なと思った。
自分を気遣ってくれて、千鶴と一緒に看病してくれたらしい。
平助だけじゃなく、その他の人たちも。
原田さんは、倒れた私を屯所まで運んでくれ、
永倉さんは…よく分からないが、とても心配してくれて…
斎藤さんは持参の“石田散薬”を私のために提供してくれたらしいが、
山崎さんに止められたそうだ。
でも斎藤さんは淡々としているけど、こんな私を心配してくれることが分かった。
みんな……いい人じゃんと新選組の不評も忘れるぐらい見直した。
「琴音…お前の処分が決まった。」
鬼副長こと土方歳三はいつもと違う表情で私を見る。今日はなんだか穏やかだった。
それと私のこと…下の名で呼んでくれた。
「私の処分は?」
穏やかな彼の表情を見ると、怖くなった。逆に一昨日の表情の方が良いとおもってしまう程……。
「お前を新選組で保護することにした。安心しろ…俺たちはお前のミカタだ。」
今…なんて言ったの?本当…?と聞き返したい程、びっくりして、なんか
意外だと感じた。
これで…殺される不安はなくなったが、信用していいのかと思ってしまう。
父の隠し事のせいで、今の私はデリケートなのだ。
迂闊に人を信用していいのか…でも———
人を疑うっていうことは良くないだろう…
私は黙って、俯ける。
でも…保護されることを断っても、私にはもう帰る場所はないんだ。もうあの家にはお父様も真琴も…いないんだ。
いいや…もうこの際、新選組に身を寄せてしまおうと気楽な答えがでてきた。
「分かりました。あの、でも条件が二つあるんですがいいですか?」
私はこの数秒の間、二つの条件をつくった。
土方は眉間に皺を寄せ、あの強面の顔で何だ?と訊いてきた。
「では言わして頂きますっ!」
言葉に気合をいれた。皆の視線が私を注目している。少しの緊張が走る。
「一つ目は、私はここでお世話になります。だから皆さんのお役に立ちたいっ!!雑用でも何でも構いません!!」
「二つ目っ!ずうずうしいかもしれませんが……皆さんの力が必要なんです!“父を殺した犯人と妹を見つけてほしいんですっ!!”」
一つ目のときは皆、いいのか?という遠慮がちの目で私を見ていた。
でも問題の二つ目…皆の視線が重くなるような気がした。
「近藤さん、どうする?」
土方は近藤の方を見て訊く。
「一つ目の件は良しとする。二つ目の件は皆の意見を聞くとしよう。」
やはり二つ目は難しいのか…と少し凹む。
「俺は捜索することに賛成だ!」と自信ありそうに原田は言う。
「俺も!」平助も原田と同じく言う。
平助の次に永倉、斎藤、沖田との順番で「賛成」という意見が出た。
(更新再開)
「よしっ、犯人捜しと妹さん捜しを皆でやるっ!」
近藤ははっきりと宣言してくれた。これを聞くと皆の表情は豊かになった。
「でも綱道さん捜しにも手をぬくな!」
付け加えて、言い終えた。千鶴も安心したようだった。
「皆さん、ありがとうございます!!」
屯所中に響く程、大きな声でお礼を私は言った。
私は喜びに溢れていた。
続く…
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