二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 ———刹那の契り——— ( No.246 )
- 日時: 2012/12/28 11:30
- 名前: 亜鶴 (ID: V9P9JhRA)
第十八話 逢いたい希望
とある山小屋—————
山小屋の中には琴音の妹・橘真琴と、橘幸成を殺害したあの少年がいた。
「お兄ちゃんは…誰?」
幼き真琴は好奇心旺盛で少年に問詰める。
あの夜の恐怖心と緊張感は打解けた様だった。
少年はニコっと笑い、自分の名を教えた。
そして真琴の頭を優しく撫でる。
(姉妹は似るものだね。この子は琴音にそっくりだ…)
「ねぇ、琴音に逢いたい?」
少年は真琴をじっと見て、訊ねる。
真琴の目がきらきらと輝く。
「逢いたいっ!!」
その一言には強い想いが込められていた。
それだけ琴音に逢いたいと必死なのだろう。
「じゃあ、いい子にしてれば…俺が逢わせて上げる。」
(この子を利用しなければ…琴音に近づけないし、計画も成功しない…)
(それに…この子は琴音に逢いたいはず。ここは協力することが大事だ)
「本当…?」
彼女は少年を少し疑う。
“いい子に寝ていれば…お姉ちゃんは帰ってくる”
あの夜に幸成に言われた言葉。
彼女は素直に父に言うことをきいた。
それ程、姉が帰ってくるっていうこと心から願っていたんだ。
でもいい子にしてても、姉は帰ってこなかった。
話とは違うではないか————
少年の言うことをきいても、同じように姉に逢わせてもらえなかったら、どうする…?
(この人を信じていいの…?)
真琴は幼いながらも、必死に頭を使い、考えた。
「そうだよね…俺は幸成さんを殺した奴だ…。信じられないよね…」
諦めがちで、苦笑いしながら、俯く。
「お兄ちゃんは…お父様に殺して!って頼まれたんでしょ!?お兄ちゃんの意思で殺した訳ではない。」
強く強く、幼い真琴は言う。
「…信じる!お兄ちゃんのこと、まだ何も知らないけど…なんか知ったような気がするの。」
「真琴はお兄ちゃんを信じるからっ!!」
真琴は希望をかけて、言った。
「…ありがとう。」
そっと礼を言い、少年は真琴を抱き締めた。
(琴音と千鶴…待ってろ。俺がお前たちを迎えに行く…)
(あの日に戻るんだ…)
続く…
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